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素朴な土色が持つ魅力!備前焼を知ろう

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備前焼きは、平安時代から現代まで同じ製法で作られているやきものであると言われています。土の色と温かみの素朴さを楽しむことができる備前焼きは、使えば使うほどに手になじみ、その味わいが深まります。土と炎のみで作られている備前焼きの特徴や歴史、また作り方の手順や種類など、その魅力について解説していきます。

備前焼はどんな特徴があるの?

備前焼は、岡山県備前市伊部地区周辺を産地としている素朴な土色を楽しむ焼き物です。この地区の土には、鉄分が多く含まれているため、備前焼の特徴である独特な茶褐色を出すのに適していると言われています。
備前焼は、良質な土を使用し一点一点成形し、乾燥させた後、絵付けをせず、釉薬を使用せずに焼き上げるのが特徴のひとつです。使用する土の性質や、窯の温度、焼く時の灰や灰の付き方によって、仕上がりが異なるため、全て形や色合いが異なる一点ものとなることが最大の特徴であると言えます。

備前焼は1200度以上の高温で約10日前後をかけてじっくりと焼かれます。そのため、強度の高い仕上がりとなる上に、表面には凹凸とわずかな通気性あり、料理などを盛るには最適な保温性に優れています。また、通気性にも優れているため、草花が長持ちする花器としても愛用されており、実用的な焼き物として重宝されています。

備前焼がたどってきた歴史

備前焼は、日本六古窯に数えられている古い歴史を持つ焼き物です。その起源は平安時代であると言われています。鎌倉時代の後期に入ると、現在焼かれているものに近いような、茶褐色の焼き物が焼かれるようになったと伝えられています。

室町時代に入ると、茶道の発達と共に、備前焼の素朴さが見い出され、水指などの茶道具としての人気も高まりました。桃山時代中期以降にかけては、茶道と共に備前焼も隆盛期を迎えますが、江戸時代へ移行すると、次第に豪華絢爛なものではなく、とっくりや、鉢などといった実用性の高い焼き物としての利用が広まっていきます。

またこの時期には、白磁なども多く焼かれるようになるので、備前焼の人気が次第に衰退していくことになります。明治維新以降の時代に入ると、日本の伝統文化の再評価が行われていき、備前焼にも注目が集まり始めます。時代が昭和になると、備前焼の作家が次々と人間国宝に認定されたのを始めとして、その芸術性が評価され、伝統工芸品に指定されるなど人気が高まっています。

備前焼はどんな流れで作られるの?

備前焼は、使用する土づくりから始まります。備前焼に使用される土は使用用途により混合して作られており、混合比は使用する作家ごとに違うと言われています。土は、一定の期間寝かせるとねっとりとしたよい粘土になります。

半年から数年寝かすことが一般的であるようです。土ができたら成形が始まります。成形はろくろを使用して行われることが多いですが、中には手びねりにこだわって成形を行っていく人もいます。ろくろを使用して形を作った後、少し乾燥させてからへらなどで仕上げていきます。成形されたものを乾燥させた後、窯詰めに入ります。備前焼にとってはこの窯詰めは非常に重要な工程です。窯詰めの出来次第で、仕上がりが変わってきます。大きさの異なる作品を計算して配置していきます。そうすることで、窯の中で炎の流れを作り、それぞれの焼き色に変化のある作品が仕上がります。次に窯焚きと言われる工程に入ります。窯焚きは、1週間から10日間ほどかけて松の割り木を使用して行われます。

最初は少量の薪を使用することで、少しずつ温度を上げていきますが、最終的には窯に多量の薪を投入することで、温度を1250度位まで上げます。窯焚きが終了したら、窯出しです。そのまま自然に窯の温度が下がるのを待ちます。備前焼は急速に冷やすと作品に傷がついてしまう危険性があります。4日から5日ほどして、窯の中の温度が下がったら窯出しを行います。作品には灰などが付着しているため、水洗いをして落とします。

できるまで分からない備前焼特有の窯変

備前焼は、窯の中で模様がどのように変化していくか、作者でも仕上がるまで予測することができません。窯のどの辺りに置いたかや、温度、灰などの付き方などによっても仕上がりは異なります。備前焼特有の窯変にはいくつか種類があります。
まず、胡麻と呼ばれるのは、焼いている間に表面に付着した灰が、高温でガラス化したものが胡麻のように見えることからそのように呼ばれています。多量に付着した灰が流れた状態のものは、玉垂れや流れ胡麻と呼ばれます。色は白や黄、金や青や黒などさまざまです。
次に、緋襷と呼ばれるのは、隣り合う作品同士が窯の中でくっつかないように入れられた藁が、粘土に含まれる鉄分と科学反応を起こすことで現れる襷状の緋色の線から名づけられています。白っぽく薄い色に朱や赤の色味が映える模様になるため、若い人にも人気があります。
また、牡丹餅と呼ばれるのは、平な作品の上に小さめの丸い作品を置いて焼くことを言います。小さな作品を置いた部分には炎が当たらないため、丸い模様ができたようになり、まるで牡丹餅を乗せたように見えることからそう呼ばれています。
さらに、窯の中では作品に炎が当たる部分は赤みをおび、当たらない部分は暗褐色になりますが、それらの境目は灰青色になります。その灰青色になっているものを桟切りと呼びます。
絵付けを行わない備前焼ですが、このように特有の窯変があり、予測できない仕上がりの様々な風合いを楽しむことができます。

青備前・白備前・黒備前って何?

素朴な茶褐色の色合いが特徴の備前焼ですが、中には、青備前、白備前、黒備前と呼ばれるものがあります。まず青備前は、窯の中で酸素が当たらない場所で焼かれた時に出てくる色合いです。物質から酸素が奪われる還元状態で焼かれた作品は、鮮やかな灰青色に発色し、酸素が少ないほどより水色に近い色合いに仕上がります。ただ、窯の中で酸素のない状態をつくること自体が難しいため、意図して生産することは難しく珍しいものとされています。
次に白備前は、鉄分の少ない土を焼きしめてつくったものであると言われています。常には作られていないことや、作家により製法が異なることもあり、希少なものであるとされています。
最後に黒備前には、成形後に、鉄分を多く含む土を作品の表面い塗って焼き上げる伊部手と言われる手法が用いられています。土に含まれる鉄分の量によって、仕上がりの色の濃さには違いが出てきます。製法は作家によっても異なりますが、仕上がった作品はどれも独特の風合いを持つものになります。

備前焼は作家の個性に注目

備前焼きは1点1点が、作家それぞれの製法で手作りされている焼き物です。焼かれる時の窯の中での配置の仕方や、温度変化などで、色合いや風合いが異なるため、同じものはなく、全てが1点ものの作品であると言えます。そのため、備前焼は作家ごとの個性が表れやすいという特徴があります。長く使えば使うほどに手に馴染み、より風合いが増していく備前焼は、周りの評価などに惑わされることなく、自分の五感で気に入ったものを選ぶようにすることが大切です。純粋に自分の好みで選んだ作品は、長い間愛着を持って使用することができるでしょう。他の焼き物と異なり、備前焼に関しては、焼き物に対して素人であっても自分の感性で作品を選ぶことができると言われています。ただし装飾品としての用途だけでなく、実用性を重んじて選ぶ際には、どのようなことに使うのかも考慮して選ぶようにしましょう。

まとめ

BECOSでは、モダンで普段使いできる備前焼を多数取り揃えております。ぜひ、ご覧ください。

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Written by 樫村健太郎(BECOS代表)

歴史好きが高じて日本全国の城郭巡りをするうちに、各地の伝統工芸品やものづくりに興味を持ちBECOS(ベコス)を立ち上げる。表面的な事実だけではなく、ものづくりの発祥や伝承などの歴史的背景を絡めた考察や紐解きを得意とする。寺社仏閣、庭園、仏像など日本文化に対して幅広い知識を持つ。好きな戦国武将は豊臣秀吉。

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