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秩父銘仙

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秩父銘仙の歴史

大胆で鮮やかなデザインの秩父銘仙の起源は、崇神天皇の御代にまで遡れるほど古いものです。

もともと秩父盆地を囲むように秩父山地が存在する秩父地方は、稲の栽培に不向きなため養蚕家を営む者が多くいました。

標準を超える繭から「太織」を作っていて、やがて「鬼秩父」と親しまれるようになりました。

その丈夫な絹織りは庶民の生活に欠かすことのできない織物となり、全国的に名を知られるようになったのです。

「銘仙」の語源については、いくつもの説があります。

古くは目専や目千や名撰などと書いていました。

同様に「秩父銘仙」も銘仙という言葉の定着以前はそう呼ばれてはいません。

そのため秩父銘仙という名称での発生年代は、その大変古い歴史から見ると最近となります。

諸説あるため一例となりますが、1887年頃、太織を「めいせん」の名で販売し始め、1897年頃に「優良品を選んだ」という意味で「銘撰」の字が当てられ、やがて「銘仙」と表記するようになったと言われています。

1908年「ほぐし捺染」技法の発明とその特許の取得によって、秩父銘仙は隆盛を迎えました。

秩父銘仙の特徴

秩父銘仙の大きな特徴は、糸に型染めをすることにより、裏表がないように染色できることです。

そうして出来上がる平織りの織物は、表が色褪せてしまっても、裏を使って仕立て直しができるというメリットがあります。

仕立て直しが利き、長い間着られることから多くの人に広まりました。

普段着として重宝がられた理由は他にもあります。

使用される糸は生糸、玉糸、紬糸だけでなく、くず繭や生糸のくずを原料として作られた紡績絹糸などの高級過ぎない物です。

そうした糸を使用したことも人気の理由です。

また、秩父地方出身の人物が特許を取得した技法である「ほぐし捺染」は、機械で織物を織り上げる時、仮織りした段階で染色し、緯糸を手でほぐしながら織っていきます。

型染めされた経糸と緯糸は色が違うため、見る角度によって光沢が生まれることがあります。

この玉虫色の光沢こそ秩父銘仙のもう1つの特徴です。

秩父銘仙の利用シーンと利用の注意点

秩父銘仙は、古くから庶民に親しまれてきた華やかで丈夫な普段着です。現在でも着物なら普段使いに、ポーチや名刺入れなどの小物ならいつでも利用できるでしょう。

<基本的な注意点>
丈夫で長持ちするイメージの秩父銘仙も、あくまで絹織物です。

絹の性質として湿気を引きつけ、押しつけて擦る力には弱いです。

そのため定期的に風通しの良い場所に置いたり、何かに擦ったりしないようにあまり乱暴に扱わない方が良いでしょう。

また、汚れや染みを放置してしまうと、カビや黄変の原因になります。

特に着物の衿などはファンデーションが付着しやすいので注意が必要です。

<洗いたい場合>
絹織物は水に濡れると縮みます。

そのため秩父銘仙の着物も丸洗いの際、水ではなく有機溶剤を使用したドライクリーニングを行う必要があるでしょう。

難しいと感じる場合は、着物専門のクリーニング店に依頼することをおすすめします。

業者の中には丸洗いだけでなく、染み抜きや工芸修正なども引き受けてくれるところもあります。

秩父銘仙の見学をできる工房

名称:ちちぶ銘仙館

所在地:埼玉県秩父市熊木町28-1
電話:0494-21-2112
アクセス:西武秩父駅から徒歩5分
御花畑駅から徒歩10分
営業時間:9:00〜16:00
定休日: 年末年始(12月29日~1月3日)

ちちぶ銘仙館の本館などは、元は旧埼玉県秩父工業試験場であった建物を利用しています。

国の登録有形文化財に登録され、秩父銘仙の歴史の重みを感じさせる佇まいです。

糸繰室、整経場、捺染室、織場など秩父銘仙の生産に必要な様々な工房の雰囲気を味わうことができます。

糸繰とは、糸染で染めた糸を糸繰りに巻き取り、これからの工程を滑らかに行えるように準備する作業のことです。

この工程は毎月第2土曜に実演が行われています。

秩父銘仙の体験をできる場所

名称:ちちぶ銘仙館
所在地:埼玉県秩父市熊木町28-1
電話:0494-21-2112
アクセス:西武秩父駅から徒歩5分
御花畑駅から徒歩10分
営業時間:9:00〜16:00
定休日: 年末年始(12月29日~1月3日)

ちちぶ銘仙館では、体験ブースも充実しています。

型彫室・型染め体験室、織体験室、染場・染体験室の3種類があります。

型彫室・型染め体験室で体験できるのは、型染め体験です。

第2土曜には職人の技が見れる型彫りの実演もあります。

織体験室では、高機を使用した手織りが体験可能です。

500円を支払えば30分程でコースターを作ることができます。

染場・染体験室で体験できるのは藍染です。

こちらではハンカチやTシャツを1時間程で有料で作れます。

Written by 赤津 陽一

竹細工職人の祖父を持ち、幼少より伝統工芸やものづくりの現場を見て育つ。日本のものづくりの現状を変えたいとの思いから、BECOS(ベコス)の立ち上げに参画。全国の職人やメーカーに対して取材や撮影、インタビューを行い自分の足で情報を集め、読者へ届けることにこだわっている。

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