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伝統工芸士とは?なるにはどうしたらいいの?

Journal編集長
Journal編集長

「伝統工芸士」という言葉、聞いたことはありますか?「伝統工芸士って何?職人とどう違うの?」とわからないことがいっぱいありますよね。

私も伝統工芸に関わる仕事をする以前は、全くわかりませんでした。

実は、「伝統工芸士」とは職人の中でもでも優れた技術・技能を持つ方のみが手にすることのできる国家資格なのです。

この記事では伝統工芸士とは何か、またなるにどうしたらよいか紹介していきます。

そもそも「伝統工芸士」とは?

「伝統工芸士」とは、経済産業大臣指定の「伝統的工芸品」の製造に従事する技術者で、高度な技術・技法を保持する方を認定する制度。

つまり国家資格にあたります。2019年時点で、日本で伝統的工芸品に指定されているのは235品目。

認定を行うのは、一般社団法人伝統的工芸品産業振興協会。伝産法と呼ばれる「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づいて行われます。

伝統工芸を次の世代へ伝えていくための制度

伝統工芸士の認定制度は、1974年に誕生しました。背景にあるのは、後継者不足等により低迷する伝統工芸産業です。

伝統工芸士に認定されると、産地それぞれの伝統工芸を保存、技術・技法の研磨し、伝統工芸の振興に務めることになります。

そして、次の世代へ伝えていくという責務を果たすこと。そのための重要な認定制度です。

伝統工芸士には女性が少ない!?

2011年に発表では伝統工芸士は4441名、うち女性は569名とされています。10年ほど前の発表ですが、おそらく現在も比率は大きく変わっていないでしょう。

女性が多い品目や技術もありますが、全体的に見るとやはり男性の比率が高いです。私もこれまでに数多くの伝統工芸士の方にお会いしてきましたが、男性の方が圧倒的に多いです。

伝統工芸士になると得られるもの

では伝統工芸士に認定されるとどうなるのでしょう。

「伝統マーク」という、経済産業大臣指定伝統工芸品のシンボルマークを見たことはありませんか?伝統工芸品に認定されたものにも用いられているマークです。

実際に伝統工芸士の方とお会いしてご挨拶をすると、「伝統マーク」がデザインされた名刺をお持ちになっています。

もちろん、知識は優れた技術は名刺で測れるものではありません。

伝統工芸士をお持ちでない方でも、卓越した技術をお持ちの方もいらっしゃいます。

ですが、国家資格であるということ、つまり知識や技術を認められているという「信頼」として、大きな意味を持ちます。

また、伝統工芸士会の入会を通じて、技術の練磨や親睦、情報交換を行ったり、自治体の助成金の申請資格を得ることができる場合もあります。

伝統工芸士になるには?

伝統工芸士の認定は、国家資格の中でも比較的難しいとされていて、合格率は6割程度といわれています。

認定を受けるには、伝産法に基づき一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会が行う認定試験を受験し、合格する必要があります。

試験内容は、大きく3段階に分かれています。

  • 知識

伝統工芸品の一般的な知識から、技術・技法、原材料や歴史なども出題されます。

  • 実技

伝統工芸品に関する専門的な技術がどれだけ備わっているかが問われます。

  • 面接

伝統工芸品に関する専門的な知識に加え、伝統工芸士としての資質を問われます。

詳細な内容は、各産地の組合によっても異なります。

12年!受験資格を得るまでに必要な経験

伝統工芸士の試験は誰でも受けられるわけではありません。

まず、受験するためにいくつかの条件があります。

  • 経済産業大臣が指定する伝統的工芸品の製造実務経験が12年以上あること
  • 受験する伝統工芸産品の地内に居住していること

それぞれの産地における組合で、独自の規定を設けているところもある

実務経験20年以上、というケースもあるようです。

じゃあ、伝統工芸士を目指す「職人」になるためは?

まず、受験資格を得るにも、職人の道に進まなくてはなりません。

実際にはどのように仕事に就くことができるのでしょうか。

弟子入り

職人の中には、代々家業として技術を継承されていることも少なくありません。

学校や養成施設に入学する

工芸品産地で、職人を育成するための学校を運営しているケースがあります。

その場合、学校で学んだのちに、弟子入りや工房での修行を始めます。

求人情報で探す

一般的な求人と同様にウェブサイトなどで募集情報を探し、応募するケースです。

最近は、工芸や職人にフォーカスした情報サイトもあります。

未経験でもなれる?

職人というと、若くから「その道一筋」というイメージを持たれるかもしれません。

全くの異業種から転職した、という方もお会いしたことがありますので、必ずしも経験者、というわけではないでしょう。

「伝統工芸士になりたい…」

その覚悟を持つことができたら、まずは一歩踏み出してみることが大切です。

伝統工芸士に向いている人っているの?

伝統工芸士の方に限らず、職人さんとお会いするとこんなお話を聞きます。

「昨日作業に没頭していたら、気付いたら夜中になっちゃって」

「ちょっと早く仕事が終わったら、展示用の作品製作に取り掛かっているんですよ」

また別の職人さんはお弟子さんについて、このように話していました。

「最初は技術が無くて当然。できないこともたくさんある。辛い思いをしながらも毎日同じことの積み重ね。嫌になってやめていく子の方が多い。」

元々の器用さや素質の部分だけではなく、残ることができたからこそ、腕の良い職人になった。

卓越した技術を身に着けることは、並大抵の努力ではかないません。

自分の腕で食べていけるようになるには、想像を絶する厳しい状況を乗り越えなくてはなりません。

どんな仕事でもいえることですが、厳しい状況に直面したとき、それでも続けていけるか「なにか」を見つけることが必要になるでしょう。

まとめ

技術を習得し、「伝統工芸士」として認定されることは、決して楽な道ではないでしょう。

根気よく、何年も、何十年もひたむきに技術を身に付け研磨し続けなければなりません。

しかし、これまで受け継がれてきた工芸品を次の世代へ継承すること。

これは、重要な社会貢献であることに間違いありません。

厳しい環境があるとわかっていても、それでも挑戦したい!と思う方は、ぜひ、その門戸を叩いてみてはいかがでしょうか。

Written by 赤津 陽一

竹細工職人の祖父を持ち、幼少より伝統工芸やものづくりの現場を見て育つ。日本のものづくりの現状を変えたいとの思いから、BECOS(ベコス)の立ち上げに参画。全国の職人やメーカーに対して取材や撮影、インタビューを行い自分の足で情報を集め、読者へ届けることにこだわっている。

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