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女流棋士が起業!布の将棋盤をつくった理由

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Journal編集長
Journal編集長

プロの将棋女流棋士であり、将棋の子ども普及事業を営んでいる株式会社いつつの代表中倉彰子さんに現在の活動や、布の将棋盤の制作秘話などを伺いました。

いつつ中倉
いつつ
中倉さん

こんにちは!中倉です。今日はよろしくお願いします!何でも聞いてください!

Journal編集長
Journal編集長

ありがとうございます。中倉さんご自身のことや起業した理由などいろいろと教えていただければと思います。

まずは、中倉彰子さんご自身について教えてください

1994年、高校3年のときに女流棋士としてデビューして2015年まで20年以上プロ棋士として公式戦に出場したり将棋の普及活動を行ってきました。

私生活でも3人の母親になったことで、「将棋の子ども普及」に取り組んでみたいなと思いまして、周りの皆様からのご支援もあって2015年10月に株式会社いつつを設立しました。

 

布の将棋盤をつくった理由を教えてください

いつつでは、日本伝統文化の価値を子どもたちへ「楽しく」「わかりやすく」届けたいという想いがあり、その想いに沿った商品を試行錯誤しながら作っています。

これまで、将棋テキストやグッズを制作していたのですが、では次は道具、という自然な流れでした。

プロ棋士が使用する将棋盤や駒は、日本の職人さんが作っています。本当はそのようなホンモノに触れてもらいたいのですが、高額なものも少なくないため、いきなり購入・・というのはちょっと難しいです。

そこで、まずはその手前で、気軽に遊べるものを作りたい、気負いせず気軽につかえ、温かみがあるものに子どもたちに触れてもらいたいと思い「どこでも将棋、たまに風呂敷」という意味を込めて「どこたま」と名付けた商品をつくりました。

 

どこたまで将棋をするとどんないいことがありますか?

将棋は「コミュニケーションツール」としてもとても優れているボードゲームだと思っています。

よくおじいちゃんが孫と話したいけれど、何を話したらいいか分からないってことあるじゃないですか。

将棋だと、共通の話題ができますし、あまり話さなくても将棋を指していれば自然なコミュニケーションがとれるんです。

どこたまは、かつて盛んに行われていた「縁台将棋」のようにお休みの日に外で指すこともできますし、公園などでピクニックがてら指すこともできます。

どこたまと将棋の駒さえあれば、将棋ができるんです。

どこたまの制作秘話を教えてください

これまで、布の将棋盤はたくさんあったのですが、大人向けのもが多く、もっと子どもたちに愛着を持って長く使ってもらえるデザインにしたいなと考えました。

こうしてできたのが「カニ囲い」「世界の将棋」「左馬」「千鳥銀」の4つです。

これらは全て、将棋に関するモチーフで、遊び心に富んでいると同時に、日本の伝統文化的な面もあり、子どもたちがワクワクするようなデザインになったと思います。

将棋を通して日本の文化を伝えていきたいという思いがあったので、海外で安くプリントするのではなくて、日本の伝統的な方法で作りたいなと思い、つくってくれる職人さんを探していました。

どうやって職人さんを探したらいいのだろうと思案していたときに、3代続く京の老舗染物店スギシタさんを紹介していただきました。

室町時代から受け継がれる「印染」という技法で、お祭りの半纏やお店ののれんを染める伝統的な方法を守り続けている職人さんです。

私たちの思いに共感してくださり、子どもたちが好みそうな色はこちらで伝えましたが、実際の色は、「こちらでまかせてください。」という職人さんらしいお言葉をいただき、そこはお任せしました。

実際できあがった布をみて、なるほど納得の色が出来上がりました。

駒もやっぱり、本物を使ってもらいたいと思い将棋の駒の一大生産地である「天童」の駒を使っています。

扇子もプロ棋士が持っているものと同じものを使っています。

扇子はあおぐというよりも開いたり閉じたりしながら読みのリズムを取ることが多いです。

子どもから見るとその所作がとってもかっこよく見えると思うんです。

私も小さいころプロ棋士の方が対局中に扇子を使うのをみて何度も真似していました。

--夢と書いている理由は何ですか?

子どもたちに「夢」を持ってほしいなという思いと、プロ棋士としてとても尊敬している蛸島彰子さん(史上初の将棋の女流棋士で初代女流名人)がよくサインに「夢」と書いていたので、私も真似させていただいています。

使った方の反応はどうですか?

プロ棋士にも実際に使ってもらっています。女性にも評判です。

また、教室に来ている生徒さんのお母さんからきいたのですが、キャンプ場に言った際に、どこたまを持っていって家族で将棋を指したようです。

自然に囲まれて将棋を指すのも気持ちが良くて楽しかったと言っていました。

今後の展望について教えてください

「将棋って地味、難しそう」というイメージから「楽しそう!かっこいい!おしゃれ!」というイメージに変えていきたいですね。

これからも、日本の伝統文化の古くからあるものと、現代の感覚をあわせた、新しいことに挑戦し続けたいと思っています。

また、どのように伝えると初心者の子どもたちに伝わるか、理解されるかを常に工夫し、実践しているのですが、そういった知見を教材や指導カリキュラムに落とし込んでいきたいと思っています。

将棋は子どもの教育にとっても良いと考えています。

対局では、負ける場合はちゃんと「負けました」と言わなければいけないんです。

小学生くらいの子どもにとって「負けました」というのはとても勇気がいることなんです。

最初はなかなか言えない子も多くて、泣いてしまったりする子もいます。

でもそこで、しっかりと「負けました」と言うことで、自分自身の成長にもつながりますし、責任感を養うことにもつながるんです。

そして将棋が上手になるには、負けを経験することもとても大切なんです。

そして次はどうすればいいのかということを自分で考えることが将来とても役に立つと思っています。

強さだけで将棋を習うよりも、礼儀作法なども含めて習ってほしいなと考えています。

正座をするのも、駒の指し方も集中力を養えますし、はじめは難しくてもだんだん落ち着いて指せるようになってきます。

どこたまや、教本や指し方動画などを通してもっと多くの子どもたちに将棋を楽しんでほしいなと思います。

Journal編集長
Journal編集長

今日は、ありがとうございました!私も将棋を指してみたくなりました!どこたまを使ってお休みの日にさっそく指してみようと思います!もっと子どもたちがこれを機に将棋が身近になるといいですね!

いつつ中倉
いつつ
中倉さん

ぜひ!あたたかい日なら気分転換にもなっていいと思いますよ!これからもたくさんの子どもたちに将棋を楽しんでもらえるように頑張っていこうと思います!

Written by 赤津 陽一

竹細工職人の祖父を持ち、幼少より伝統工芸やものづくりの現場を見て育つ。日本のものづくりの現状を変えたいとの思いから、BECOS(ベコス)の立ち上げに参画。全国の職人やメーカーに対して取材や撮影、インタビューを行い自分の足で情報を集め、読者へ届けることにこだわっている。

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