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江戸切子職人の四代目が挑む新たな挑戦とは?

松本
ライター松本

こんにちは!学生ライターの松本です!いきなりですが、このグラスたち美しすぎませんか?色合いがとても綺麗ですよね。

しかし何より、複雑な細かい彫刻が重なって一つの模様ができているところがヤバいんです!実はこの彫刻、一つ一つ職人の手作業なんです!!

ということで今回僕は伝統工芸品ではトップクラスの知名度を誇る江戸切子の制作現場にお邪魔させていただきました!

 

  • 職人が一つひとつ手作業でつくる逸品
  • 宝石のような美しい輝き
  • 長く愛用できる飽きのこないデザイン

 

江戸切子ってどんなもの?

江戸切子とは、知ってる人も多いと思いますがガラスに手作業で彫刻して模様をつけた工芸品です。1つの作品に様々な模様が使われ、その芸術性の高さと日用品としての使いやすさから、グラスやお皿、花瓶などとして古くから日本人の生活に使われてきました。

もともと発祥は、天保5年(1834年)にビードロ屋の加賀屋久兵衛が金剛砂を用いてガラスの表面に彫刻したのがはじまりだとされています。

その後、明治、大正と時代とともにガラス素材の研究や研磨技術が進化していき、

昭和60年には東京都の伝統工芸品に指定されました。

 

また江戸切子の美しさはとどまることを知らず、平成14年には国の伝統工芸品に指定されています。

江戸切子は現在でも職人が一つ一つの模様を手作業で彫刻しています。その手作業の正確さや模様の精巧さは、いつの時代でも人々の心を魅了し、多くの職人が作っています!

今回の取材先は小林硝子工芸所さん

初代から受け継がれてきた看板

今回の取材先の工房は東京都江東区にある小林硝子工芸所です!

なんと小林硝子工芸所は4代続く歴史ある工房で、初代の小林菊一郎さんはあの大橋巨泉の祖父に1908年に弟子入りしていたそうです!大橋巨泉の祖父が江戸切子の職人だったなんて驚きですね。現在は3代目の小林淑郎さんと息子で4代目の小林昂平さんの二人で工房を回しています。

今回取材させていただいたのは4代目の小林昂平さん。

松本
ライター松本

昂平さんよろしくお願いします!

小林
小林さん

お願いします。

明治大学を出て職人の道へ

松本
ライター松本

早速ですが昂平さんは職人さんの中ではお若いと思いますが、いつから工房に立ち始めたのですか?

小林
小林さん

明治大学在学中の20歳ごろに初めて工房に立ちました。

松本
ライター松本

自分が今21歳なので、それよりも若い年齢で工房に立っていたなんて意識が高いですね。昔から家業を継ごうと思ってたのですか?

小林
小林さん

いえ、それまでは全く思っていなかったです。暗い工房に閉じこもって仕事をやりたくないと思っていましたね。

松本
ライター松本

そうだったんですね。昂平さんが職人になると言ったときの両親の反応はどうでしたか?

小林
小林さん

職人になりたいと言った時には反対はなかったですね。

松本
ライター松本

昂平さん自身は明治大学を出てモノづくりの世界に入ることに不安はなかったのですか?

小林
小林さん

確かに、食べていけるかわからないという不安はありました。でも、当時は工芸品が衰退しているとかを全く知らなかったんですよね。だから良い意味で何も知らなかったからこそやりたいという気持ちだけで飛び込めました。工芸品が衰退しているとか認知されることの難しさだとかは入ってから感じましたね。

カットしながら水をかけることで削ったガラスの粉末が舞わないようにするそうだ
松本
ライター松本

その行動力、尊敬します。実家にいつでも制作できる環境があったことも大きな要因ですか。

小林
小林さん

はい。やはり環境が最初から整っていることは大切ですね。しかし私の場合、技術は父に丁寧に教えられたわけではないので、父の背中を見て技術を盗むって感じでした。自発的に動かないと上達しない状況だったんですよね。

松本
ライター松本

技術を盗む!なんか職人さんっぽくてかっこいいですね。そこからご自身が思う一人前の職人になるにはどれくらいの年月がかかりましたか?

小林
小林さん

うーん、何を一人前の基準にするかによりますが、自分の名前で百貨店の催事に出すようになったのはそこから4〜5年くらい経った時ですかね。
江戸切子は1つの工程だけなら努力すれば何年もかからずに技術を習得できるかもしれません。

松本
ライター松本

簡単に聞こえてかなり難しそうです。。。

江戸切子ってどうやって作るの?

松本
ライター松本

先ほど技術を盗むとおっしゃっていましたが、実際に江戸切子はどうやって作るんですか?

線と線の交差するポイントに向かってカットしていくことで綺麗な模様が生まれる
小林
小林さん

まず、割り出しと呼ばれる工程があります。これは、グラスに線を引く工程で、この線を元に彫刻をするので、江戸切子における最も重要な工程です。

松本
ライター松本

それは手作業で引くんですか?

実際に割り出しの工程で使っている器具
小林
小林さん

はい。この回転台の上にグラスを置いて、下の台座を回転させながら手で線を引きます。

松本
ライター松本

細かい作業が苦手な僕にとってはこれを習得するだけで3年かかりそうです。

小林
小林さん

この作業自体は奥さんにやってもらったり分業でやるところもありますが、僕は自分でやっていますね。ここではあくまで彫刻の目安になるように線を引くだけで、デザインを描いたりはしないです。だからこそ正確な線である必要があるので、ミスしたら全部消して書き直しですね。

松本
ライター松本

彫刻の目安ですね。なるほど。工作の方眼用紙みたいな感じですかね。この割り出しが終わったら次はなんですか?

小林
小林さん

荒摺り(あらずり)という工程です。ダイヤモンドホイールに水をかけてガラスの粒子が飛ばないようにしながら、カット作業に入ります。ここでは大まかなカットをして細かいカットは次の三番掛けという工程で進めます。

小林
小林さん

荒摺り、三番掛けと済んだら、石掛けと呼ばれるカット面を滑らかにする工程です。人工砥石や天然石に水をかけながら仕上げていきます。

小林
小林さん

石掛けの後は、大きく分けて手磨きと酸磨きによる磨きの工程があります。

手磨きでは木盤や樹脂系パッドなどに水溶きした研磨剤をつけてカット面に光沢を出していきますが、手に持つ道具は稲を自分で編んで作っています。

稲穂を束ねて作っている道具
松本
ライター松本

自分で道具を作るなんて職人さんっぽくてかっこいいです!

小林
小林さん

ウチでは昔からこの道具は自分たちで用意していますね。磨きが終わったらバフ掛けと呼ばれる、フェルトや綿など繊維の回転盤で磨き上げる工程を経て完成です。

松本
ライター松本

なるほど!江戸切子は大まかに分けて6つの工程で作られるのですね!どれも集中して取り組まないと一瞬でガラスに傷が付いてダメになってしまう工程ばかりですね。
昂平さんは失敗するときはありますか?

小林
小林さん

眠いとき以外は基本失敗しないですね笑普段は無心で作業しています。

松本
ライター松本

雑念は全て取っ払って作業するわけですね。丸みを帯びたガラスに彫刻するのはやっぱり難しそうだなあ。

切子職人に聞いてみた仕事の魅力とは?

松本
ライター松本

実際に継いでみて、江戸切子作りの魅力をどう感じましたか?

小林
小林さん

まず一番は、自分が亡くなっても作品が残ることですね。

松本
ライター松本

なるほど。

小林
小林さん

あとは、好きなことを仕事にできているのももちろん魅力ですが、販売会とか百貨店の催事とかで、色々な職種の人間に知り合うことができたり、外国人のお客さんが昔より多く来ていたりと、人と繋がる機会が多いので、ある意味幅広い仕事ができているのかなっていうのも魅力だと思います。

松本
ライター松本

作った作品を展示会に出して、お客さんと触れ合う。作品を作ることだけがモノづくりの仕事ではないのですね!

職人じゃなくても江戸切子を作れちゃうの!?

本格的な機材が揃っている体験教室
松本
ライター松本

今小林硝子工芸所ではお弟子さんとかは取っているんですか?

小林
小林さん

いや、今の所教室はありますが弟子は取っていないですね。今の制作規模感で落ち着いているので。

松本
ライター松本

なるほど。ではゆくゆくはお弟子さんをとるかもしれないと?

小林
小林さん

現状ではその予定はありません。将来になってみないと分からないです。

松本
ライター松本

教室というのはどんなことをやっているのですか?

小林
小林さん

もう10年以上やっていて、生徒さんには月4回通っていただいて、好きなペースで江戸切子作りをできる環境を用意しています。

松本
ライター松本

気軽に参加できそうでいいですね。どういう生徒さんが多いんですか?

小林
小林さん

30代〜60代くらいの女性が多いですね。みなさん江戸切子作りを楽しんでいて、自分で使いたいから作る方や、人に送る贈答品を自分で作りたいという方などみなさん理由は様々です。あとは修学旅行生の受け入れとかもしています。

模様や工程によって使い分けられる様々なブレード
松本
ライター松本

自分で伝統工芸品を作れるのはいいですね。製造工程を自らが体験することで、江戸切子への理解も深まりますし、作品への愛着も湧いてハマっちゃいますよね。僕もグラスを作ってみたいので通ってみようかな(笑)

小林
小林さん

ぜひ(笑)

美しすぎるアクセサリーと自身のブランドの想い

松本
ライター松本

先ほど取材する前に、昂平さんが江戸切子で作ったピアスを見せていただいたのですが、美しくて見とれてしまいました。。。昂平さんはなぜジュエリーを作り始めたんですか。

小林
小林さん

もともと、江戸切子でジュエリーを作る構想は継いだ時から持っていたんですよ。お皿とかグラスとか、

江戸切子の食器を利用しない人にも楽しんでもらいたいと考えた時に、身近なものと言ったらアクセサリーだと思ったんです。

 
松本
ライター松本

確かに、アクセサリーだったらファッションに落とし込めますし可能性も広がりますよね。何より江戸切子のジュエリーは今までなかった発想ですよね。

実際に販売しているピアス
小林
小林さん

僕にとっては、伝統工芸品の職人になるということは、歴史を継ぐのと同時に、敷かれたレールの上に乗ることだと感じたんです。だから自分で新しいレールを敷きたいという想いから、0から1のものを作って自分のブランド(tokoba)を立ち上げ新しいことに挑戦しました。

松本
ライター松本

素晴らしいと思います。昂平さんが江戸切子をジュエリーへ変化させたのは、工芸品を時代のニーズに合った在り方に変化させたのだと思います。

小林
小林さん

今の時代工芸品は、形を変えていかないと今の生活に取り入れることが難しい物もあると思います。また、この時代になかなかアートに振り切った作品を作るのは難しいので、写真家やデザイナーなどと共同して新しいものを作るのも有効的な手段だと思います。

松本
ライター松本

なるほど。伝統を継承しつつもアーティストとコラボすることを恐れず、新しい風を吹かせることも伝統工芸品には大切なんですね。

松本
ライター松本

いい感じのオチをいただきました!
昂平さんありがとうございました!

小林
小林さん

ありがとうございました。

取材を通じて学んだこと

小林硝子工芸所の、江戸切子を制作できる教室の運営や、常に生活に落とし込めるような作品を開発する姿勢はとても面白いと感じました。

僕も中学生の時に修学旅行の飛騨高山で千鳥格子のストラップを作ったことは今でも覚えています。
この記事を書きながらストラップ作りを思い出して、モノづくり体験というのはその場で終わってしまうものだと思っていましたが、大人になっても記憶に残る貴重な体験だと気づかされました。

伝統工芸品の職人さんたちは、後継者や弟子を取らないにしても、体験教室などで気軽にモノづくりに触れさせる機会を用意することは認知される大切なきっかけになるのかもしれませんね。

今回、小林硝子工芸所の取材をして、少し後継者問題の糸口が見えたような気がします。昂平さんが作った美しいアクセサリーは、BECOSのサイトから購入できるようになってますので、ぜひ皆さん見てみてくださいね!

ではまた!

 

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  • 職人が一つひとつ手作業でつくる逸品
  • 宝石のような美しい輝き
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Written by 松本 祐太郎

1998年、千葉県生まれ。武蔵大学社会学部メディア社会学科に在学中。腕時計や財布など、身に付けるものに強いこだわりがあり、それが日本でつくられたものばかりだと気づいたことで、日本の工芸品をもっと勉強し、職人さんのものづくりへのこだわりを取材したいと思いからBECOSJournalのライターに志願。学業のかたわら執筆を行っている。

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