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世界のプロが認める「龍泉刃物」がつくる包丁の魅力

ライター中谷
ライター中谷

毎日使う包丁には、よい物を選びたいですよね。
今回は、越前打刃物の伝統の技を生かしつつ、時代に合わせてスタイリッシュな刃物をつくる、「龍泉刃物」さんにお話をうかがいました。

BECOSがおすすめする龍泉刃物の包丁

  • 美しいブレードの文様
  • 高級鋼を使い長切れを実現
  • 比較的砥ぎやすく、メンテナンスしやすい
龍泉刃物本社

龍泉刃物さんの本社は、福井県越前市の市街地から車で10分ほどのところにあります。本社の周りには、包丁を製造している工房がたくさんあり、包丁の一大生産拠点のようになっています。

ライター中谷
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今回は、プロデューサー兼刃付け師の増谷浩司(こうじ)社長にお話をうかがいました。増谷社長よろしくお願いします!

増谷社長
増谷社長

よろしくお願いします。何でも聞いてください。

伝統産業である越前打刃物の魅力

増谷社長
増谷社長

越前打刃物は、日本刀の刀鍛冶の伝統から発生しました。伝統を守りながら刃物づくりをしているところが一番の魅力ですね。歴史や特徴についても紹介いたしますね。

越前打刃物の歴史

越前打刃物には、約700年の歴史があります。

1337年、京都の刀匠である千代鶴国安(ちよづるくにやす)が、刀剣制作にふさわしい地を探して越前(現在の福井県)を訪れ、この地で刀の製造、また農民のための鎌などの道具を作成したのが始まりです。

その由来について、文献でもきちんと証明されていることから、越前打刃物は刃物産地としては全国で最初に、1979年に伝統的工芸品として指定されました。

もともと日本刀の刀鍛冶の伝統から発生した越前打刃物ですが、江戸時代には農具の一大産地として栄え、今は包丁を主流にした製造元が多数存在します。

越前打刃物の特徴

全国で刃物の産地は多数ありますが、大量生産も多い中、越前打刃物では伝統の製法を守り続けています。

最先端の機械に頼らず、手作業による「火づくり鍛造」【鋼を火で熱して柔らかくし、槌(つち)で叩くことで金属を丈夫にし、形作る方法】、また研磨作業もひとつひとつ手仕事で行っています。

ライター中谷
ライター中谷

刃物の産地の中でも、越前打刃物の場合は、若い世代が活躍されているとうかがいました。

増谷社長
増谷社長

暑い夏に火を使い、冬に冷たい水に手を入れる大変な作業ですが、後継者になりたいと、他県からも若い人が来てくれています。活気ある産地というのも越前打刃物の魅力かもしれないですね。

龍泉刃物のあゆみ

龍泉刃物は創業70年以上の歴史があります。初代は、業界随一の刃付け師(砥ぎ師)として名が知られていました。

共同工房から1948年に独立後、二代目は、砥ぎだけではなく鍛冶から一貫した生産を目指して、1953年に「龍泉刃物製作所」を創業しました。

 

1970年には、当時新しく紹介された素材である、ステンレス鋼の製品化にいち早く成功し、これが大きなターニングポイントになります。

 
ライター中谷
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ステンレスを使った製品の成功は、どんな意味合いを持っていたのですか?

増谷社長
増谷社長

それまでの鉄製の包丁は、切れ味はよいものの、さびが出やすいという特徴がありました。さびにくいステンレスをあわせて使うことにより、一般家庭でも使いやすい包丁が生まれたのです。

1988年には、現在でも人気のある「梵天雲龍(ぼんてんうんりゅう)」のシリーズが発売され、翌年には有限会社「龍泉刃物」となります。

2008年に現社長が三代目に就任し、自社での鍛冶から砥ぎまでの一貫生産を実現できるまでになりました。

2013年、世界的に有名なフランスの「ボキューズドール世界料理大会(世界最高峰の料理コンクール)」で、日本チームのために作成したステーキナイフ「アシンメトリー SK01」が、各国の審査員の間でも評判になり、これをきっかけに、「龍泉刃物」の名が世界でも知られるようになりました。

ステーキナイフ「アシンメトリー SK01」
ライター中谷
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とても美しいステーキナイフですね。見とれてしまいます!

龍泉刃物のこだわり

増谷社長
増谷社長

伝統を大切にしながら、時代に合うもの、他のメーカーにないものにこだわっています。切れ味がいい、というのは他社も目指すところです。弊社ではそれにプラスして、見た目の美しさと機能性にもこだわっています。そのために、デザインは外部のデザイナーに依頼しています。

ライター中谷
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デザイナーの渡辺弘明(ひろあき)さんとは、幼馴染なのですよね?

増谷社長
増谷社長

はい、幼稚園から中学校まで同級生でした。30年ほど会っていなかったのですが、お盆で帰省した際に偶然再会し、意気投合して一緒に仕事をすることになりました。

ライター中谷
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そこからどうなったのですか?

増谷社長
増谷社長

会った日の翌日に当時の星野リゾート軽井沢ホテル料理長・浜田統之(のりゆき)さんに会いにいき、ステーキナイフのデザインについて打ち合わせをしました。

ライター中谷
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翌日ですか!?運命的な出会いですね。浜田料理長とはどのような出会いだったのですか?

増谷社長
増谷社長

浜田シェフが、たまたま合羽橋で購入した包丁に、うちの銘を見つけて、連絡をくれたんです。ステーキナイフは、肉を切れなければいけないけれど、口の中に入れるので、切れすぎてもいけません。見た目だけでなく、機能性にもこだわって指導してもらったので、助かりました。デザインはすごいと思いました。このあと、色々なシェフとコラボしました。

このステーキナイフを皮切りに、「龍泉刃物」は、2013年から5年連続でグッドデザイン賞を受賞しています。

素材へのこだわり

増谷社長
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包丁の素材には、ステンレスにプラスして何を入れるかを、使われる方のメンテナンスによって決めています。一般向けには、コバルト成分の多いVG10という金属をよく使用しています。これは、扱いやすく、さびにくく、普通の人にも、家庭の砥石で砥げるものになっています。

ライター中谷
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家庭用だとメンテナンスしやすいというのも重要ですよね。お手入れとして、水気は切ったほうがいいんでしょうか。

増谷社長
増谷社長

はい。刃物は水気を嫌うので、できるだけ乾かしてください。ご家庭なら、瞬間沸騰機のお湯にくぐらせたら、金属は熱伝導がよくさっと乾くので、そのあと布でふいて包丁立てに入れられたらいいのではと思います。

刃物は、硬ければ硬いいほどよく切れますが、同時にさびやすくなります。

そのため、一般家庭向けのものは、適度な硬さとさびにくさを併せ持った素材、逆にプロの料理人向けには、包丁の管理や研磨機などの条件が整っているので、多少さびのリスクがあっても、切れ味を優先させた素材を使って、刃物を製造しています。

デザインへのこだわり

ひと目で龍泉刃物とわかる「龍泉輪」
ライター中谷
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「龍泉刃物」の包丁やナイフは、どれもかっこいいのですが、刃に浮かびあがる「龍泉輪」は、どの製品にもついているのですか?

増谷社長
増谷社長

たいていの刃物には「龍泉輪」が入っています。二代目のときは、問屋におろして販売していたので、うちの包丁は各産地で、そこの包丁のブランド名が入って売られていました。そこで、先代と「自分の作ったものを、自分の責任でお客様にお渡しする。」という約束をし、独自のブランドとして、特徴的な「龍泉輪」の模様を考えたり、新しい包丁が出ると新しい名をつける、ということを始めたのです。

 

 

「龍泉刃物」のトレードマークともいえる「龍泉輪」は、鍛冶の段階で、金属を何度も折りたたんでたたく際に発生します。

何度も折りたたまれた包丁

折りたたんでできた新しい層を槌で打つと、打った部分が槌の形にくぼみます。

くぼんだ部分を平らにならすと、等高線のような模様になります。

槌の種類によって、模様の形や大きさなどが変わるので、それを工夫した結果、刃にくっきりと浮かびあがる美しい「龍泉輪」ができあがりました。

何百回、千回以上と槌をふるった証(あかし)が、刃に浮かぶ美しい模様になり、また、しならせても折れない強靭さにつながるのです。

ライター中谷
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「龍泉刃物」の包丁は、持ち手の部分も素敵ですね。天然木にこだわっていらっしゃるのですか?

増谷社長
増谷社長

刃の場合は、一本一本手で打つため、同じところにハンマーがいかないので、磨き上げた時に同じ模様が2本たりとないことになります。さらに天然木であれば、木目や色合いで同じものはないので、刃とのバランスで、希少価値のある天然木を入手して、持ち手に仕立てたらどうだろう、と考えました。

ライター中谷
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持ち手の形もかっこいいですね。

増谷社長
増谷社長

今は、八角形が主流です。人によって指を置く位置を変えられるので、だれにでも使いやすくなっています。

「龍泉刃物」のラインナップの中でもひときわ美しいデザインの「寄木細工ナイフ(YOSEGI SK06)」は、持ち手に伝統的工芸品である、箱根の寄木細工が使われています。

全国の伝統工芸士との交流の中で、天然木を使って寄木細工を作る、箱根の伝統工芸士、露木清勝さんと出会い、越前打刃物と箱根寄木細工のコラボが実現しました。

「寄木細工ナイフ」は、2017年に、全国伝統的工芸品公募展で、経済産業省製造産業局長賞を受賞しています。

ライター中谷
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寄木の模様が、伝統的かつモダンですね。

増谷社長
増谷社長

日本らしいデザインなので、海外の人へのアピールにもよいかな、と思いました。実際、海外のレストランで注文をもらったところもあります。

ライター中谷
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どんなシーンで使うのがおすすめですか?

増谷社長
増谷社長

果物をむいたり、お肉を食べたり、色々なシーンで使えますが、見栄えがいいのでお客さんの見えるところに置いたりするのもよいですね。バーテンダーさんが、カウンターで使うこともあるようです。

伝統工芸品として守っていくところと変えていくところ

増谷社長
増谷社長

機械ではできない、手作業の部分を簡素化しないというところです。大量生産では素材の機能性が失われてしまうものがあります。

機械では、鋭い刃を作ることはできますが、それだけでは強度があり、長持ちする刃物はできません。

「龍泉刃物」では、二段刃といって、鋭利な部分だけではなく、0.2mmほど角度を鈍くすることで、強い衝撃にも耐える、曲がったり折れたりしない、長持ちする刃物を作っています。

この二段刃を作る作業は、手仕事でしかできないです。

ライター中谷
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それでは、変えていきたいところはどんなところですか?

増谷社長
増谷社長

お客様への届け方です。二代目までは、地元の卸業を介した販売を行っていたので、どうしても本当のお客様の声までは分かりませんでした。今は、よりお客様に近いところで接したいと考え、直接お客様へ商品を届ける仕組みをつくっています。

ライター中谷
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包丁のメンテナンスに力を入れているのもその一環でしょうか?

増谷社長
増谷社長

はい、購入いただいたお客様に少しでも長く龍泉刃物の包丁を使っていただきたいとの思いから、研ぎ直しを初回無料で対応しています。

世界展開について

ライター中谷
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海外展開も積極的にされていますが、どんな国と取引がありますか?

増谷社長
増谷社長

一番売れているのは、ドイツです。他にも、オランダ・スイス・フランス・ベルギー・イタリア・ロシア・イギリス・フィンランド・オーストリアなどに販売しています。

ステーキナイフが有名になってから、「龍泉刃物」の名は世界で知られるようになります。

ライター中谷
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誰にでも売るわけではないとお聞きしましたがどういう理由からですか?

増谷社長
増谷社長

そもそも、ヨーロッパではナイフを研磨する習慣がないので、砥ぎができる人、機械を見つけるのが難しい場合があります。しっかりとメンテナンスをしてもらえるかという点を販売する際の条件にしています。

「龍泉刃物」増谷社長からメッセージをお願いします

 
増谷社長
増谷社長

道具を提供しているメーカーとして、まずは楽しく料理できるように、使っていて気持ちが高ぶるようなアイテムを提供できたらいいな、と思っています。

ライター中谷
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それが、切れ味やデザイン、使いやすさへのこだわりですね。

増谷社長
増谷社長

「龍泉刃物」では、いろんな職人が、もの作りにこだわりを持って日々作業しています。直売ショップを立ち上げてから、直接ユーザー様とお話しする機会が増えたのですが、お客様が喜んでいただく姿を見て、自分たちの作業へ、さらに誇りを持つことができるようになりました。

ライター中谷
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お客様の声を伺うのが、大切なのですね。

増谷社長
増谷社長

一度弊社の商品を手にしていただいたお客様には、全力を持って、常にいい状態でお渡しきるように、メンテナンスもふまえて、長くおつきあいする中で、丁寧に対応していきたいと思っています。また、最後になりますが、刃物はあくまで切れるもので、安全なものではないので、ケガなどされないために、緊張感をもって使っていただければ、と思います。

まとめ

越前打刃物の伝統を継承し、手作業にこだわった丁寧なもの作り、また、今の世の中に合わせてデザインと機能性の高いものを作り出す、という革新的な発想が、世界のプロにも認められる素晴らしい製品を生み出すことを、実感したインタビューでした。

誠実さがにじみでる増谷社長のお人柄そのまま、「龍泉刃物」では、ユーザーからのフィードバックを大切にしたり、細やかなメンテナンスを行ったりなど、あくまでお客様によりそいながら、誠実にもの作りをされています。

毎日料理をする際に、このように丁寧に作られ、よく切れて長持ちし、また見た目も美しい包丁を使うことができたら、最高だと思います。

ライター中谷
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自分への一生ものの贈り物として、また大切な方への贈り物として、ぜひおすすめです!ぜひ龍泉刃物の包丁を手にとってみてください!

BECOSがおすすめする龍泉刃物の包丁

  • 美しいブレードの文様
  • 高級鋼を使い長切れを実現
  • 比較的砥ぎやすく、メンテナンスしやすい

Written by 中谷美加

奈良生まれの千葉育ち。夏休みや年末年始はいつも奈良で過ごし、昔ながらの日本文化に触れながら育つ。2003年からドイツに在住。海外にいることで、日本の文化や伝統工芸の素晴らしさを再発見する。日本の伝統工芸の今をもっと知りたい、海外の人にもその魅力を伝えたい、と考えていたところBECOSに出会い、その趣旨に共鳴。日本の伝統工芸が未来につながるお手伝いがしたいと思い、BECOSJournalのライターとして参加。

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