日本の歴史的な室内装飾である屏風。そこに描かれた絵を楽しむのはもちろん、風よけや視線の遮りといった実用的な役割も持っています。

とはいえ、屏風は現代では使う機会があまりないインテリアなので、日本の伝統とはいえ知っていることが少ないという人も多いものです。ここではそんな屏風の知識について紹介しています。

そもそも、屏風とは何?

そもそも屏風とは、部屋を仕切ったり装飾したりするために使う家具のことを言います。名前の由来は「風を屏(ふさ)ぐ」という言葉にあり、文字通り風よけのための道具だったのです。

屏風の特徴は何といっても折りたためるという点でしょう。木の枠に紙や布が張られており、これが繋がっているため折りたたむことができるのです。昔は糸などで繋げていたのですが、室町時代に蝶番が発明されたことで、現代にも伝わる屏風の形が完成しました。

屏風の歴史は古く、古代中国の漢の時代には既に存在していたと言われています。日本における最も古い屏風は、686年に当時の朝鮮半島にあった国家新羅から献上されたものだと伝えられています。

実用的な役割を持っている屏風ですが、古代の時点で既に絵が描かれており、装飾としての役割も担ってきました。特に安土桃山時代の城郭には必ずといっていいほど屏風が置かれており、その芸術的地位を固めていったのです。また、美しい日本の屏風は貿易を通じて海外にも伝わりました。輸出されるのはもちろん、現地でその土地の芸術をはめ込んだ屏風絵が作成されることもありました。

現代では個人の住宅で使われることは減ったものの、近世邦楽の演奏会や、日本舞踊や歌舞伎の舞台などで活躍しています。

屏風の数え方は?

屏風の数え方は少々特殊です。

まず屏風は一隻、二隻と数えます。これが屏風の一単位です。

屏風の中には二組で一つの作品になっているものがあります。二隻一組の屏風は一双で数えます。対になった屏風の片方だけを数える時は半隻という呼び方をすることもあります。

屏風は数枚の画面が繋ぎ合わさってできていますが、この画面一つを扇と言います。画面が二枚のものを二曲屏風と言い、枚数に合わせて四曲屏風、八曲屏風と呼びます。

六曲一双とは?

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屏風の定番には「六曲一双」というものがあります。これは一体どういう意味なのでしょうか。

六曲一双とは、「六扇(六面)で構成された屏風」が「一双(一組)になっているもの」のことです。六扇で構成された屏風を六曲屏風と呼び、これが左右で対になっているものが六曲一双ということになります。

六曲一双が屏風の定型となったのは14世紀前半と言われています。全12枚の面が織りなす大画面は、圧倒的な迫力と魅力を誇ります。

日本で一番有名な屏風は?

日本で最も有名な屏風絵の一つが「風神雷神図屏風」です。京都の建仁寺が所蔵しており、国宝にも指定されています。正面向って左が雷神、右が風神です。二曲一双の画面から織りなされる迫力のある二柱の神の姿は、日本人であればどこかで目にしたことがあるでしょう。

風神雷神図屏風を描いたのは、17世紀の江戸時代に生きた画家俵屋宗達。この屏風には宗達の落款や印章はないものの、彼の手によって描かれたものであることが確実視されています。

作者である俵屋宗達に加え、尾形光琳、酒井抱一という3人の画家を総称して「琳派」と呼びます。3人とも風神と雷神が描かれた作品を制作しました。しかしこの3人、師弟関係はおろか生きた時代すら違うのです。宗達が描いた風神雷神図屏風に憧れを抱いた光琳が、宗達の生きた時代から100年後にこれを模写しました。その更に100年後には抱一も模写。この模写によって技が受け継がれ、後の美術界が3人を琳派と呼ぶようになったのです。

屏風の修理はどうすればいい?

自宅にある屏風が壊れてしまった。そんなときはどうしたらいいのでしょうか。

屏風の修復はかなり大掛かりです。枠は大きくて軽い木で作られているので、素人が無理に扱うと折れてしまったりずれてしまう可能性もあります。無理に手を出さず、修理を受けてくれる表具店などに依頼するのが安全です。

当然ですが、壊れ方はそれぞれ異なります。傷みや汚れの付き方も様々ですし、そもそも屏風に使われている材料も異なっています。材料を見極め適切な修復を行うには、やはり専門的な知識や特別な道具が必要になるのです。

屏風祭りとは?

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屏風祭とは、京都で行われているお祭のことです。

京都市東山区では、七月一日から一ヶ月に渡って祇園祭が行われます。屏風祭はこの一環で、主に宵山の時期(前祭は14日~16日、後祭は21日~23日)に行われます。山鉾町にある旧家や老舗が、所蔵している美術品や調度品を飾り、祭を見物に来た人々は通りからその豪華な品々を見物することができます。屏風を飾る家が多いことから屏風祭と呼ばれていますが、絵画や工芸品を飾る家も多いです。

着物産業の衰退と共に、屏風祭を行う家も減少傾向にあります。しかし祇園を支えてきた京都町衆の暮らしぶりや、受け継がれてきた文化を垣間見ることができる、「静の美術館」として人々の目を楽しませています。

屏風祭は祇園祭の公式行事ではなく、個人の家や会社が個別に行っているものです。開催のタイミングを調べておくのはもちろんですが、見物の際は迷惑にならないよう気を付ける必要があります。

衝立(ついたて)と屏風の違い

屏風と同じく間仕切りのための家具としては、他に衝立(ついたて)があります。両者の違いは「折りたためるか否か」という点にあります。

衝立

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衝立は「衝立障子」の略です。襖障子や板障子などに台脚が取り付けてあり、その台脚によって自立することができます。

対して屏風には台脚が付いていません。それぞれの面がジグザグになることで、屏風は自立することができるのです。

最近では間仕切りの役目をする家具をまとめて衝立と呼ぶことも多いですが、違いに着目してみるのも面白いでしょう。購入を考えているなら、描かれた装飾だけではなく、その家具の持つ特徴について把握しておくのがおすすめです。屏風は折りたたむことができるため、部屋の大きさや置きたい場所に合わせて融通が利きます。

屏風の立て方

屏風は完全に折りたたんだ状態や、板状になるまで広げきった状態では倒れやすく、ある程度余裕を持たせて開くことで一番安定した状態になります。板状になっている屏風は、広げ始めるタイミングが一番倒れやすくなるため、それを防ぐために広げる順序があります。

まず真ん中を広げます。端から広げようとすると不安定になってしまいますが、最初に真ん中を広げることですぐに全体を安定させることができるのです。この状態から、右側左側を順番に開いていきます。

江戸時代にはこの屏風の広げる順番を計算に入れた上で構図を決めた画家もいると言われています。屏風を安定させるために生じる凹凸面は、時に屏風絵の鑑賞に邪魔だと思われますが、実はこの凹凸面を計算に入れた上で屏風絵を描いた画家も存在します。単なる平面的な紙ではなく、屏風という立体的なものに描かれたからこそ生まれた構図や絵もあるのです。

さまざまな屏風を楽しもう

時に実用品として、時に観賞用として、日本の人々の生活に寄り添ってきた屏風。近年では美術品としての面がクローズアップされ、屏風絵の迫力に魅力を感じ、屏風の展覧会には多くの人が集まっています。

基本的な知識を身に付けていると、これまでとは違うことに気付くものです。成り立ちや歴史を知りながら、屏風の持つ魅力に触れてみてください。

BECO'Sでは、ウルトラマンを題材にしたモダンな屏風を取り扱っております。