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江戸切子と江戸硝子ってどう違うの?

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Journal編集長
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日本の伝統工芸である「江戸切子」と「江戸硝子」、どちらも江戸の名がついたガラス製品ですが、その違いを明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか?

今回は「江戸硝子」の歴史や製法、江戸切子との違いや特徴、自分で学んだり体験できる施設などについてまとめていきます。

また、江戸硝子のおすすめの使い方も合わせて紹介します。

BECOSがおすすめする江戸硝子製品

  • 職人が一つひとつ作る逸品
  • 普段使いしやすい可愛いデザイン
  • プレゼント用のギフトラッピングも可能

江戸硝子の歴史

江戸硝子とは、江戸時代からの伝統的な製法を受け継ぎ、一つ一つ手作業で作られているガラス製品です。

18世紀の始め、鏡や風鈴などの日用品が作られた事が起源とされており、特に加賀屋久兵衛(かがやきゅうべえ)と、上総屋留三郎(かずさやとめさぶろう)の2人によって広まったと言われています。

加賀谷久兵衛は日本橋通塩町で鏡や眼鏡などの大衆向けの製品を作り、上総屋留三郎は浅草でかんざしや風鈴などを作って人気を博したとされています。

現在江戸硝子の伝統文化やガラス製品の復興に努めている「社団法人東部硝子工業会」は、前身となる「東京はり製造人組合」がすでに1879年に設立されています。

江戸硝子は2002年に東京都伝統工芸品として認定され、2014年には経済産業省指定伝統的工芸品に認定されました。

江戸硝子の製法

ガラスの製法

江戸硝子の製法は、「宙吹き」「型吹き」「押し型」の3つに大きく分けられます。どの製法も途中までは同じで、まずはガラスの原材料を溶解するところから始まります。

原材料は主に珪砂、ソーダ灰、石灰、炭酸カリ、酸化鉛等が使われ、これらも江戸時代からの伝統が守られています。

原材料を混ぜ合わせたら、約1400度の溶解炉に入れ水あめ状になるまで溶かしていきます。溶解した物を「硝子種」といい、これが江戸硝子の元となります。

溶解されてできた硝子種は成型されていきますが、この成型の過程が3つの製法に分かれています。

宙吹き

吹き竿を使い自由に成型していく製法です。硝子種を吹き竿に巻きとり、空気を送りながら、ハシ等の道具を使って成型していきます。型が決まっていないので自由なデザインを作れますが、その分職人さんの技量が必要となります。

型吹き

木型・金型などに吹き込んで成型する製法です。こちらも空気を送り込んで成型していきますが、自由であった宙吹きとは違い決まった形を作っていきます。型に合わせて作っていき、仕上げに不要な部分を取り除きます。

押し型

型で挟んでプレスする事で成型する製法です。型には雌型と雄型があり、硝子種を雌型に流し入れ雄型を押していきます。上下に挟むようにプレスして成型します。

成型されてできた硝子も、それで完成ではありません。硝子は高温の状態からすぐに冷やしてしまうとヒビが入ってしまう為、ゆっくりと冷ましていく必要があるのです。

この歪みが起きる温度は「徐冷点」と呼ばれ、500度前後とされています。その為成型された硝子を500度前後に温めた徐冷釜に入れ、徐々に温度を下げていく事で耐久性のある江戸硝子が完成するのです。

江戸硝子の特徴

江戸硝子の特徴

江戸硝子の特徴は、伝統の製法を守る職人が一つ一つ手作りしているからこそ生み出される温かみと深み、また独特のデザイン性があげられます。

工場での生産はできない為、同じようなデザインだとしても全く同じ物は一つとしてありません。すべて一点物の為、お土産や贈答品として人気となっています。

また伝統を守るだけでなく、新しい形にもチャレンジしています。多くのデザイン性のある江戸硝子が作られています。

 

江戸硝子と江戸切子の違い

江戸硝子と江戸切子の違い

江戸硝子と良く混同されるのが江戸切子です。どちらもガラス製品である為混同されやすいですが、明確な違いがあります。

そもそも切子とは、ガラス製品の装飾加工法、またはそれによって作られた製品の事を言います。

溝をつけ模様を描いたり、曲線で絵を描く事を切子加工と呼ぶのですが、江戸硝子に切子加工した物こそが江戸切子なのです。

従って切子加工してないのが江戸硝子であり、切子加工されている物が江戸切子という違いがあります。

江戸切子も江戸硝子を使っている為、大きくとらえれば江戸硝子であるとも言えます。

その証拠に江戸切子を生み出したのは、江戸硝子で鏡や眼鏡を作っていた加賀谷久兵衛とされているのです。

加賀谷久兵衛が南蛮人によって持ち込まれたガラス製品に切子加工したのが始まりとされており、現在でもその技術を受け継いで作られています。

江戸切子の模様

江戸切子の模様

江戸切子は江戸硝子よりも先に伝統工芸品として認定されており、1985年に東京都伝統工芸品として認定、2002年には経済産業省指定伝統的工芸品として認定されています。

そんな江戸切子にはいくつか伝統的な模様が存在します。

「魚子(ななこ)」と呼ばれる模様は、切子面の細かな光の反射が魚の鱗が連なっているように見える様から名付けられました。

「六角籠目(ろっかくかごめ)」「八角籠目(はっかくかごめ)」「四角籠目(しかくかごめ)は、それぞれ竹籠の見た目と似ているところから。

「菊つなぎ(きくつなぎ)」や「麻の葉(あさのは)」は植物の形に似ている事から名付けられています。

また「矢来(やらい)」や「七宝(しっぽう)」と呼ばれる伝統模様もあり、これらの技術が200年近くも受け継がれているのです。

江戸切子についてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
 

江戸硝子のおすすめの使い方

江戸硝子のおすすめの使い方

100円均一でも食器が買える現代において、江戸硝子を日常的に使うのは少し勇気がいるかもしれませんが、江戸硝子は本来日常的に使う為に作られているガラス製品です。

その為シーンを問わず毎日の生活で使う事をおすすめしますが、ガラス製品であるので使用にはいくつか注意点があります。

1つ目は強い衝撃に弱いという事です。

強い衝撃が加わると割れたり欠けたりするおそれがあります。食器洗浄機の使用も、中で他の食器とぶつかる恐れがあるので避けた方が良いです。

2つ目は急激な温度変化に弱いという事です。

冷たいガラスに熱いお湯を注ぐだけでも割れてしまう恐れがあります。その為ガラスが冷たくなっている時はまず室温に戻してから使い、電子レンジやオーブンでの使用も避けましょう。

3つ目は保管方法です。

直射日光にあたる場所で保管していると、ガラスが白濁してくる事があります。ガラスが白濁してしまうと江戸硝子の魅力が減ってしまうので、直射日光を避け割れたりしないようになるべく重ねないで保管するのが良いです。

ここまで聞くと使いにくく感じるかもしれませんが、適切に使えば長く使えるのが江戸硝子の特徴でもあります。

また、醤油差しのような毎日使う為の商品も作られています。きれいな江戸硝子に盛り付けるたけで、いつもと同じ料理でも一味違った非日常を作り出してくれるのです。

 

江戸硝子作りを学べる教室

江戸硝子や江戸切子には、その作り方を学べる教室もあります。

本格的にプロを目指して学ぶ「東京ガラス工芸研究所」や様々なコースが用意されている「江戸切子スクール Hanashyo’S 」があります。

東京ガラス工芸研究所

東京ガラス工芸研究所はガラスのプロになる為の教室となっていて、江戸硝子を含め多岐にわたる技法を学べる教育機関となっています。

プロを目指すコースは全日制と夜間コースがあり、年間1100時間を超える本格的な授業を受けられます。また週に1度の一般公開講座や、様々な体験教室も行っているようなので、一度受けてみたいという方にはそちらがおすすめです。

江戸切子スクール Hanashyo’S

江戸切子スクール Hanashyo’S は江戸硝子ではありませんが江戸切子を学べる教室です。

切子のカットを体験するコース、5回でぐい飲みを完成させる入門コース、1つのデザインのぐい飲みを15回かけて完成させる初級コース、ぐい飲み以外の作成に挑戦する中級コースなどがあります。

また中級コースの中でも技術の高い人は実際の工房に行って学べる上級コースもあります。こちらの教室もインストラクターや職人を目指すコースも用意されているので、本格的に学ぶ事も可能です。

江戸硝子作りを体験できる工房

「GLASS LAB」

東京都江東区にある「GLASS LAB」では、江戸硝子で作られた「液だれしない?油差し」の加工体験を行えます。

こちらは硝子を持たないで加工体験ができるような仕組みになっていて、小学生でも体験が可能となっています。

ボール盤と呼ばれる加工機のレバーを上下させ、?油差しの口を広げ栓が入る大きさまで広げていく工程が体験できます。

また海外の方向けのサービスもあるようで、通訳をつけて加工体験の他にも工場見学や清澄白河の見どころ紹介などをしているそうです。

「すみだ江戸切子館」

また「すみだ江戸切子館」では、併設されている工房で江戸硝子に切子加工の体験ができます。すみだマイスター認定の職人や、店舗スタッフが丁寧に指導しながら90分でグラスに加工をしていきます。

体験に使われる形や色は日によって変わるそうですが、自分だけのグラスが作れると人気となっています。

グラスへの切子体験は高校生以上が対象ですが、中学生以下もペーパーウェイトを使った切子体験ができるそうです。

 

江戸硝子は進化する伝統工芸品

江戸硝子は伝統的な技法を受け継いでいながらも、時代に合わせて進化している伝統工芸品であると言えます。

江戸硝子は伝統的な技術を詰め込んだ独特な味のある物を、江戸切子は伝統的な模様を残しながらも技術を生かした新しいデザインを作り出しています。

どちらも日常的に使うには気が引けるかもしれませんが、飾るのではなく本来の使い方をしてあげる事でこそ良さが引き立つ工芸品なのです。

Written by 赤津 陽一

竹細工職人の祖父を持ち、幼少より伝統工芸やものづくりの現場を見て育つ。日本のものづくりの現状を変えたいとの思いから、BECOS(ベコス)の立ち上げに参画。全国の職人やメーカーに対して取材や撮影、インタビューを行い自分の足で情報を集め、読者へ届けることにこだわっている。

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