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甲冑って今でも着れるの?素朴な7つの疑問

甲冑と言えば昔の戦国武将が着ていたイメージが強いですが、実は今でも着る事ができるのを知っていますか?今も甲冑を作っている人がおり、現代まで続く伝統工芸品でもあるのです。今回はそんな甲冑について、基本的な情報から実際に着る事ができる場所まで紹介していきます。甲冑は単なる防具としての役割だけでなく多くの魅力が詰まっているのです。

甲冑とは

甲冑とは

甲冑とは武士が身に着けていた防具の事であり、胴体を守る鎧(甲)と頭を守る兜(冑)の事を指します。その歴史は古く、弥生時代(紀元前10世紀から3世紀頃)にはすでに甲冑の存在があったと確認されています。実際に「組合式木甲」と「刳抜式木甲」の木製甲が見つかっており、現存する中では日本最古の物とされています。

古墳時代には「短甲」と呼ばれる日本独自の甲冑があったとされ、その後大陸からの影響を受けた「挂甲」という甲冑が見つかっています。甲冑の形状は時代と共に進化しているので、形状から時代背景を探る事も可能です。

その後も甲冑は様々な進化を遂げていきますが、戦国時代には甲冑として有名な形状の「当世具足」が使われていたとされています。当世具足以前の甲冑はどの甲冑もほとんど同じ形状で、違いは綴る色糸の色程度であったとされています。

しかし当世具足には様々なバリエーションがあり、その事で敵味方の判断もつけられる位違いが明確となります。また兜についている前立てなどの装飾も増え、文字や家紋が多く使われるようになったとされています。

時代が移り合戦などが少なくなるにつれ、甲冑の文化は衰退していきます。そして明治維新を境についに甲冑が実用される事はなくなりました。現代では古美術品や工芸品としての価値が高く、特に合戦の少なかった江戸時代以降の甲冑は権力の象徴としての役割も担っていたため、その華やかさと技術の高さが人気となっています。

重さはどのくらい

甲冑は時代によって形状も様々である為、重さも大きく差があります。騎馬戦が多く矢に対する防御に比重を置いて作られた「大鎧」では、甲冑だけで20kg~30kgあったと言われており、そこに刀や弓などを装備すると全部で40kg近くあったとされています。この時代の源頼朝が140cm半ば程の身長であったとされているので、現代よりも小柄な体型でこれだけの甲冑を着けていたのは相当重かったであろうと推定されています。

もちろん大鎧よりも軽い甲冑もあり、足軽雑兵がつけていたとされる「腹巻(腹部から胸までの胴体を守る鎧)」は10kg前後とされていますし、戦国時代の当世具足は、刀などを装備しても25kg程度だったと言われています。また兜に付けられた立派な前立ては重そうにも見えますが、実は非常に軽く作られており100g程度とされています。前立てはいざ合戦になった時はすぐに壊れるように作られており、戦闘の邪魔にならなかったと言われています。

甲冑はどんな人が作っているの?

甲冑を作っている人の事は「甲冑師」と呼びます。また「具足師」や「鎧細工」とも呼ばれており、金属の加工から染織や裁断までをほぼ1人で行っているのです。もともとその時代の最先端の技術の結晶である甲冑は、それぞれのスペシャリストが分業して作っていたそうです。しかし現代では全てを1人で行う為、その技術の習得だけでも十数年の歳月が必要とされています。その為甲冑師の数は減少していき、今では日本に数人の職人さんしかいないのです。

現代の職人さんは主に甲冑の修理や復元作業を行っているそうですが、新たな甲冑を作る事もあるそうです。その場合は製作期間が3年~6年かかるとされ、値段も数千万円以上すると言われています。修理や復元は博物館や神社仏閣からの依頼を受け行うようで、できる限り当時の染料や技術を用いて再現していくそうです。その過程で新たな事実が発見される場合もあり、甲冑師の西岡文夫さんは伝承されている染料ではなかったという事実を見つけました。

初代佐賀藩主である鍋島勝茂が着用したとされる「青色塗萌黄糸威二枚胴具足(あおいろぬりもえぎいとおどしにまいどうぐそく)」は、伝承では漆に藍や石黄を混ぜて使う「青漆塗」であるとされていました。しかし修復過程で疑問を抱いた西岡さんは科学調査を依頼し、西洋の油絵具に近い染料が使われている事実が分かりました。西岡さんは当時に近い塗料を使用する事で、見事本物の雰囲気を再現する事に成功したのです。

結婚式などで着たい場合はどうすればいい?

結婚式などのイベントで甲冑を着たい場合、甲冑のレンタルサービスを利用する方法があります。サービスを提供している会社の1つが「甲冑工房丸武」で、こちらはインターネットを介した注文が可能となっているので全国どこでも甲冑を借りる事が可能です。しかし甲冑をレンタルする場合は、甲冑の重さと着付けの時間には注意が必要となります。

甲冑の種類にもよりますが、軽い物でも5kg~6kg、重い物だと20kg程度の重さがあります。披露宴で甲冑を着たいと思っている場合は、まずはその重さも考慮しなくてはなりません。また着付けはプロの方でも15分~20分はかかるとされており、自分や式場のスタッフだけでは更に長くかかる可能性もあります。

心配な場合は着付けのスタッフを派遣するサービスもあるので、甲冑だけでなくそちらも参考にしてみてください。また「甲冑工房丸武」ではレンタルだけでなく、制作期間1か月~2か月で手作りの甲冑の制作も請け負っています。時間も金額もレンタルよりは多くかかってしまいますが、レンタルではなく購入したいという人はこちらがおすすめです。

本物を着れる場所をご紹介

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本物の甲冑を着れる体験を行っている場所はいくつかありますが、その1つが神奈川県にある「箱根武士の里美術館(はこねもののふのさとびじゅつかん)」です。こちらは1991年に開館し、古美術商の林安人さんが長年に渡って集めた貴重な古美術が展示されています。

本物の甲冑を着る体験ができるだけでなく、美術館なので甲冑の他にも、刀や鉄砲、茶道具などの多くの古美術を見る事ができます。体験では江戸時代の甲冑を着る事ができ、本物である為その重さもしっかりと感じる事ができます。甲冑の形状の関係で体験できない体格の方もいるようですが、体験可能な場合は2人のスタッフに手伝ってもらい着付けをしていきます。

館内の撮影はできませんが、こちらは甲冑を着た状態で記念撮影ができます。館内には今まで体験された方の写真が貼られているそうなので、興味のある方は1度見に行くのがおすすめです。

本物の甲冑が見れる場所をご紹介

先程紹介した箱根武士の里美術館でも本物の甲冑を見る事ができますが、埼玉県にある「川越歴史博物館」も本物の甲冑を見れる事で有名です。

この博物館ではなんと館内での写真撮影が許可されています。多くの博物館や美術館が写真撮影禁止になっているので、歴史ファンからすると写真を撮れるのは魅力的です。川越歴史博物館は3階建てになっており、甲冑は3階に展示してあります。

まず館内に入ってすぐに目につくのが江戸時代初期に使われていたとされる兜です。実際に使われていた兜なので、その重厚感が伝わってきます。その他1階には十手や捕り物具、錠や枷、キセルやたばこ入れなどが展示されています。2階は主に川越城に関係ある物や考古学の資料などが集まっている階で、土器やハニワなどが展示されています。

またこの階では忍者に関係ある物が多く展示されており、手裏剣やまきびし、クナイや忍小鎌なども展示されています。そして3階が川越歴史博物館の1番の見どころである甲冑が展示されている階になります。甲冑の中には大坂夏の陣で有名な「後藤又兵衛」の兜や、「織田信長」の兜まで展示されています。色鮮やかな甲冑や馬用の鎧なども展示してあり、室町時代から戦国時代を中心とした数多くの甲冑を見る事ができます。またNHKの大河ドラマ「独眼竜政宗」に出演した兜もあるそうです。

甲冑の合戦が見られるお祭り

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甲冑を着て合戦を行う、まるでタイムスリップしたかの様な気分を味わえるのが「ガチ甲冑合戦」です。こちらは「日本甲冑合戦之会」が主催しているイベントで、公募による一般の参加者も含め100人~200人規模の合戦が行われます。

また参加者は日本人だけに限らず、海外からの参加者も誘致して国際交流としての一面もあるようです。日本甲冑合戦之会が自ら主催するイベントもあるようですが、多くは各地の歴史祭りなどと協力して行われています。

もちろんガチ甲冑合戦といっても取っ組み合いの喧嘩をする訳ではなく、あくまで安全に配慮されたイベントとなっているので安心です。しかしあくまでも筋書きがある訳ではなく、実際の戦いを舞台にして行われますが歴史通りの勝敗にはならない可能性もあります。

ガチ甲冑合戦では、本当の合戦をいくつかのシーンに分けそれぞれで勝敗をつけていきます。始めは火縄銃や弓、投石(印地打ち)などの遠戦から始まり、次第に近接戦へと変わっていきます。

近接戦では槍による集団戦や一騎討ちなどが行われ、それらの流れにより合戦全体の勝敗が決まるそうです。一般の参戦者は槍隊の将兵となり、敵の置楯を槍で倒し陣形を崩す役割が与えられます。

日本甲冑合戦之会の会員になる事で、大将などの重要な役職に就く事ができるようです。会員の中にはマイ甲冑を持ってきて参加される方もいるようで、甲冑に関しての規則も設けられています。使用できる甲冑の種類は当世具足に限られ、陣羽織や派手な兜は禁止されています。

もちろん甲冑はレンタルする事ができ、会員の場合はイベントへの参加費も甲冑のレンタル料も無料だそうです。

甲冑は単なる防具ではない

甲冑は武士が身を守る防具として使われていましたが、それだけではない魅力が沢山詰まっています。どの時代の甲冑もその当時の最先端の技術が詰まっており、甲冑の進歩は技術の進歩に大きく関係しているのです。今でも甲冑を着る事ができるサービスやイベントは多くありますので、興味のある方は実際に体験してみるのがおすすめです。

Written by 樫村健太郎(BECO'S代表)

歴史好きが高じて日本全国の城郭巡りをするうちに、各地の伝統工芸品やものづくりに興味を持ちBECO'Sを立ち上げる。表面的な事実だけではなく、ものづくりの発祥や伝承などの歴史的背景を絡めた考察や紐解きを得意とする。寺社仏閣、庭園、仏像など日本文化に対して幅広い知識を持つ。好きな戦国武将は豊臣秀吉。

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