阿波和紙とは
阿波(あわ)和紙とは、徳島県内の、主に吉野川市・那賀郡那賀町・三好市で作られる和紙です。
伝統を受け継ぐ職人によって作られてきた阿波和紙。上品で柔らかな質感と、水に強く破れにくい耐久性を持つことから、多くの人々に愛用されてきました。
近年では、新たな開発や活動も積極的に行っています。特に阿波和紙のアート用和紙は国内外のアーティストから大変人気で、多くのアート作品が生み出されています。
1300年前から伝承される阿波和紙の歴史
阿波和紙の歴史は古く、始まりは今から1300年程前。朝廷に仕える忌部(いんべ)族が650年頃に阿波の国に入り、麻や楮(こうぞ)を植え、布や紙の生産を盛んにしました。その記録は807年に編纂された歴史書「古語拾遺(こごしゅうい)」に記されています。
以来、忌部族の始祖である天日鷲命(あまのひわしのみこと)は「紙の始祖神」として崇めまつられています。
江戸時代、阿波藩によって保護奨励された阿波和紙の産業。阿波藩の藩札や奉書、画仙紙などの御用紙として重宝されました。また、特産の藍(あい)を使った藍染め和紙が評判となり阿波和紙は全国に知られ、藩の財政を潤します。
その高い技術は海外でも評価されました。明治時代半ばの1893年にはシカゴ万博、1900年にはパリ万博に阿波和紙は出品、賞状を授与しています。
明治時代、紙の需要が増えたことにより最盛期を迎えた阿波和紙。当時、吉野川流域には紙漉きをする家が約500戸あったといわれます。
大正時代以降、阿波和紙の産業は衰退の一途をたどります。生活の変化や大量生産できる安価な紙が出回ったことから、和紙の需要が激減したためでした。
厳しい状況の中でも、阿波和紙の伝統の継承と新たな開発、普及は続けられました。その伝統と技術が認められた阿波和紙。1970年には「徳島県無形文化財」、1976年には国の「伝統的工芸品」に指定されました。
その後、1989年には「阿波和紙伝統産業会館」が誕生。阿波和紙の啓蒙と継承を目的として、展示や紙漉(す)きの見学、体験ができる施設になっています。また、国内外のアーティストを受け入れ、阿波和紙の技術を使った作品作りを支援する活動も行っています。
新たなニーズに応え続ける阿波和紙の特徴
阿波和紙の特徴は、自然の素材を感じる柔らかい肌触りと水に強い丈夫さです。原料は主に楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)。これらは、古くから日本の和紙に使われる三大原料です。
伝統を守るだけでなく、新たな和紙の研究や技術開発に積極的であることも阿波和紙の特徴です。そのため、時代のニーズに合わせた多種多様な和紙を作り出しています。
阿波和紙の紙漉きは、「手漉き」と「機械漉き」があります。手漉きは古くから使われる「溜め漉き」と「流し漉き」の技法を使い、手漉きの特性を活かした和紙を制作。これまでの常識にとらわれない分厚い和紙、大きな和紙も手漉きで制作しています。
機械漉きでは、昔ながらの和紙の原料である楮(こうぞ)や三椏(みつまた)を使い、和紙を制作しています。天然原料の風合いを活かした美しく丈夫な和紙になっています。
また、鮮やかで色彩豊かな「染め」も阿波和紙の特徴です。和紙ができ上がってから染める「後染め」の技法を使い、さまざまな色や柄の和紙を作り出します。阿波和紙の後染めの技法には、揉み染め、板締め染め、雪花(せっか)染め、藍染めなどがあります。
阿波和紙の現代での使われ方とお手入れ方法
阿波和紙は文具やインテリア用品、アート作品など、幅広い用途で使われています。
文具は名刺やレターセット、ブックカバー、インテリア小物はランチョンマットやランプシェードなど。手漉き和紙に特有の四方にできる「耳」を活かした形や、花形や丸型、ビーズやドライフラワーを加えた和紙の製品などさまざまです。
室内のアクセントとなる、壁紙やアートパネルにも使用されています。壁紙はホテルやレストラン、公共施設でも使用。アートパネルは、アメリカ人デザイナーのクレイグ・アンセロウィッツ氏のデザインと監修のシリーズが著名です。その中でも、藍染め技法を用いた染師の藤森美恵子氏とのコラボレートアイテムは、東西のテイストが融合した美しい仕上がりになっています。
原料の研究や技術開発によって印刷できる和紙も制作しています。オフセット印刷とデジタル印刷ができる和紙は、書籍や日本酒のラベルなどに使われています。インクジェット印刷ができる和紙は、デザイナーや写真家に多く使われています。
多くのアート作品にも使用される阿波和紙。アーティストが使う手漉きの特注和紙も制作されています。大きなサイズの特注品も手掛け、縦2.4メートル 横5.1メートルもの特大手漉き和紙も作られました。また、海外アーティストからの評価も高く、アメリカへの輸出も行っています。
阿波和紙の壁紙やアートパネルなどインテリア和紙のお手入れは、水拭き・洗剤の使用を避けてください。日常のお手入れは、乾いた布やハタキで優しくホコリを落としましょう。
汚れが付いた場合は、固く絞った布で優しく拭くか、消しゴムで優しくこすって落とすのがおすすめ。必ず目立たない箇所で試してからお手入れしてください。また、強く擦ると傷ができることがあるので注意が必要です。
阿波和紙の見学・体験ができる場所
阿波和紙伝統産業会館・ミュージアムショップ
所在地 | 徳島県吉野川市山川町川東141 |
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電話番号 | 0883-42-6120 |
定休日 | 毎週月曜日(祝祭日の場合は火曜日) |
営業時間 | 午前9:00~午後5:00 |
HP | http://www.awagami.or.jp/hall/about/index.html |
備考 |
展示、見学、紙漉き体験 |
アワガミファクトリー
所在地 | |
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電話番号 | |
定休日 | |
営業時間 | |
HP | http://www.awagami.or.jp/interior/ |
備考 | 阿波和紙のインテリア和紙ブランド |