武士の美意識を表現した肥後象がんの魅力

肥後象がん

肥後象がんとは

肥後象がんとは、熊本県熊本市で生産されている伝統的な工芸品です。

象がんとは、鉄の地金に純金や純銀を打ち込み装飾を施す細工のことで、江戸時代に武士の文化として盛んになりました。

肥後象がんはほかの象がんにはない独特な渋い魅力を持ち、現代ではさまざまなアクセサリーや高級雑貨などに応用されている美しい装飾品です。

肥後象がんの歴史と林又七

象がんの技術は元々中東のシリアで始まり、欧州やインド、中国など世界各地にも伝わりました。

日本にも飛鳥時代にはその品物と技術が伝えられたといいます。

江戸時代初期、肥後熊本藩主の加藤家に仕えていた鉄砲鍛冶の林又七は、鉄砲や刀の鍔(つば)などに金細工を施す工芸を得意としていました。

ところが加藤家が改易されることになり、又七は失職の危機を迎えます。

そこへ新たに豊前小倉藩から移った細川忠利が藩主となり、忠利の父で隠居していた三斎忠興も共に肥後に移りました。

文化人だった三斎の元には腕利きの職人が多数所属しており、又七の金細工も三斎の目にとまることとなります。

失職によりその金細工の腕前が失われることを惜しんだ三斎は、又七を召し抱えて彼の技術を庇護しました。

又七はこれを意気に感じて職務に励み、京都に留学して象がんの技術を習得し、肥後に戻ってからは刀の鍔に見事な金細工を施す「肥後鍔」を新たに創作。

これが肥後象がんの始まりと伝わっています。

又七を創始者とした流派は幕末までその伝統が続き、多くの優秀な職人を輩出しました。

そのうちの一人の神吉楽寿は又七の再来と評されるほどの名人で、刀の鍔にとどまらずさまざまな小道具に細工を施し、肥後象がんは隆盛を極めることに。

ところが明治維新後の廃刀令により、刀の鍔の需要が一気に減ってしまったことから、職人たちは仕事を失い、肥後象がんも存続の危機に直面します。

残された職人たちは創意工夫し、箱や文鎮、煙管などの小道具の装飾を細々と行って、どうにか伝統を守ってきました。

肥後象がんは現代までその伝統が継承され、人数は少ないながらも職人たちが腕を振るい、アクセサリーの装飾など新しい分野へと進出しています。

奥ゆかしく上品な肥後象がんの特徴

肥後象がんの特徴は、鉄の地色を活かして過度に派手さを求めず、武家の文化を表現した、重厚で渋く、まるで武士が戦場に花を咲かせるような粋な美しさです。

錆(さび)で赤みをおびた黒い鉄と、金銀のコントラストが象徴的で、緻密に施された草花や幾何学模様などのさまざまな装飾は、多くの人を魅了してきました。

地鉄は塗料で色をつけることはなく、あえて錆色をそのまま残すことで独特の色合いとなり、奥ゆかしく上品な美しさを表現しています。

肥後象がんにはいくつかの技法が使用されており、ノミで刻んだ切れ目に金銀を打ち込む布目象がんや、生地を彫って装飾を施す彫り込み象がん、切り嵌めなどがあります。

現在の作品は、ほとんどが布目象がんによって作られています。

布目象がんは、まず鉄やその他の生地に筆を使って草花などの下絵を描き、次に工具を使って布目と呼ばれる非常に細かい切り込みを入れます。

その上に、形取った金銀の板を打ち込みますが、このとき鹿の角を使用するのが特徴です。

仕上げには、美しい錆色を出すために秘伝の液体を塗り、さらに錆止めのためにお茶で煮出すという念の入れ方で、完成までにさまざまな工程を必要とします。

これによって、ほかの象がんのような豪華さを押し出した装飾品ではない、肥後象がん独特の渋い美しさを出すことができます。

肥後象がんの現代での使われ方とお手入れ方法

肥後象がんは元々は刀の鍔や鉄砲の砲身などの装飾でしたが、現在はさまざまな装飾品に応用されています。

最も多く製造されているものの1つがペンダントで、植物の絵柄を装飾したものが多く、動物の絵柄も鳥や蝶などの優雅なものから、猫などを愛らしく現代風にアレンジした絵柄の装飾まであります。

また、熊本のご当地キャラクター「くまモン」のペンダントもあり、人気です。

幾何学模様で装飾されたペンダントも数多く生産されています。

男性用の装飾品としてはネクタイピンやカフスなどがあり、さりげない自己表現ができるダンディなアイテムとして武士の美学にも通じるものがあります。

その他、万年筆・しおり・ペーパーナイフといった文具や、額に入れられたインテリア用品なども多く、お土産やプレゼント用として人気です。

肥後象がんのお手入れ方法は、特別なことをする必要はありません。

長く使うほどに美しさが増してくるので、時々乾いた指でこすることによって、良い意味での使用感が加わり、魅力を保つことができます。

銀細工の部分は長く使用しているとくすんでくるので、消しゴムをかけるとくすみを除去することができ、銀が輝きを取り戻します。

肥後象がんの見学・体験ができる場所

くまもと工芸会館

所在地 熊本県熊本市南区川尻1-3-58
電話番号 096-358-5711
定休日 月曜日(祝日の場合は営業し、翌日休館)
営業時間 1階9:00~17:00 2階・3階9:00~21:00
HP http://www.kumamoto-kougei.jp/
備考 【肥後象がん教室】5,000円/月 道具代25,000円 第1・第3木曜日 10:00~16:00

肥後象嵌 光助

所在地 熊本県熊本市中央区新町3-2-1
電話番号 096-324-4488
定休日 なし(年末年始は休み)
営業時間 9:00~17:00 土日祝10:00~16:00
HP https://mitsusuke.com/
備考 【体験】3,500円   体験時間は約1時間 ペンダント・パッチ・ストラップから選択

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