ブランド
幾重にも塗り重ねた色漆の美しさ
増川泰治
- 2007年
- 津軽塗
- 増川泰治
歴史
最古の天然塗料「漆」の魅力を活かした津軽塗
津軽塗は青森県弘前市を中心に製作している、漆塗りの伝統工芸品です。
漆の樹液が塗られた器は、縄文時代の遺跡からも出土されているほど歴史が古く、日本人にとって馴染みの深い手わざの品です。
江戸時代に弘前藩主により引き立てられた津軽塗は、城内に塗師(ぬし)の作業場があり、当初は武士の刀の鞘(さや)を美麗に彩っていました。
次第に調度品へと広がり、幕府や朝廷への献上や贈答で積極的にアピール。
ヒバの木に幾重にも漆を重ねて研ぐことで模様を生み出す弘前の塗り物は、圧倒的に美しく真似ができないほど一流であると当時の文献にも記述されています。
その後、世情に翻弄されながらも伝承と進歩を続け、1975年には国の伝統的工芸品に指定されました。
私は2005年に後継者育成事業に参加したことで津軽塗に魅了され、職人の世界に入りました。
研修、独立の末、青森県で活動しながら渋谷ヒカリエや松屋銀座で展示を開催しています。
特徴
北国ならではの強さと美しさがあふれる漆器
津軽塗の特徴は、青森県木のヒバの木地に漆塗りを重ねて、何度も砥石で磨くという約50工程を繰り返して表れる、色や模様の美しさです。
塗装した上から模様をつけるのではなく、何重にも色漆を塗り重ねては、層を砥石で磨いて複雑な模様を出す。
色漆の層が厚ければ厚いほど重厚感が増して、さらに堅牢になっていきます。
唐塗(からぬり)の斑の模様は、仕掛けベラで凹凸を施した後に塗りと磨きを重ねる珍しい技法で、その模様はパッと目を引きます。
もともと中国からの輸入品を唐物と呼び、高級品を意味していたことからこの名が付きました。
魚卵のような柄の七々子塗(ななこぬり)は、菜の花の種を蒔いて模様をつけます。
着物の小紋柄のようなシックなイメージです。
紋紗塗(もんしゃぬり)は、黒い漆を塗った地にもみがらの炭粉を蒔き、砥石で磨く津軽塗ならではの独特な技法です。
ほかにも塗り方を組み合わせることで、バリエーションは無限に広がります。
お客様へ
艶やかで温もりのある津軽塗にぜひ触れてください
ヒバの木地に何重にも塗り重ねた漆は、塗ってから乾くまで長い時間が必要で、完成に1カ月半から2カ月ほどかかります。
ほかの地域の漆器は、塗装した上に模様を描くことが多いのですが、津軽塗は色漆を何度も塗り重ねてから、じっくり手間をかけて砥石で研磨。
ひとつひとつと、しっかり向き合って仕上げていくのです。
そうして表れた複雑な色や模様は独特で、奥行きや力強さが魅力となっています。
粘り強い北国気質のような堅牢さと、四季の情緒あふれる艶やかな津軽塗を、ぜひ手に取って実物を堪能していただければと思います。
プロデューサー
「日本に眠る才能」の価値をもっと多くの人に
■J Flavor
地元に、世界に、社会に笑顔を。
私たち J Flavor(ジェイ・フレーバー)は、日本が持っている伝統、技術、感性など様々な才能を掛け合わせ、新しい価値を創り出す工芸プロデュース集団です。
日本が持つ才能の素晴らしさを世界中の人に知ってほしい。
日本製品の価値を通じて、全ての人が笑顔でいられる社会を目指して。