京くみひもとは
京くみひもとは京都市や宇治市周辺で作られている組みひもで、基本的な組み方が約40種類、模様などのバリエーションを入れると3,000種類を超える組み方のある奥の深い伝統工芸品です。
1976年に国の伝統的工芸品に指定され、2007年に「京くみひも」は特許庁の地域団体商標に登録されました。
美しく染め上げられた絹糸を使い、専用の台を使って複雑に組み上げられた京くみひもはその独特な風合いで長く愛用され続け、現在でもその優雅な美しさは世界中の人々に親しまれています。
京くみひもは大きく分けて円筒形にのびた丸打紐とリボン状にのびた平打紐、直方形にのびた角打紐の3種類に分けられます。
どの紐も製造工程においては同じで、
1. 糸割り
2. 糸繰り
3. 経尺(へいじゃく)
4. 撚(より)かけ
5. 組み上げ
6. 仕上げ
といった工程で作り上げられます。
組み上げの工程では丸大・角台・籠打台・高台・綾竹台・内記台などを使って手作業で組み上げて製作されます。
時代を超えて愛用され続ける京くみひもの歴史
日本では古代の縄文時代から、日常生活に簡単なくみひもが使われていました。
その後飛鳥・奈良時代には仏教の伝来と共に仏具や仏典、巻物などの格式の高い品の付属の飾り紐として美しいくみひもとその技術が渡来しました。
当時の高い技術で作られたくみひもは現代では法隆寺や正倉院などに収蔵されています。
その後平安・鎌倉時代になるとくみひものデザインはより日本的で優美なものとなり、豊かな色彩と複雑な編み目を凝らし、貴族の冠の房、服飾のための袖くくりの緒、平緒、楽器、調度、巻物、箱類と様々なひもが作られました。
室町時代では茶道が盛んになり、掛け軸の啄木や茶道具を入れる袋である仕覆(しふく)の緒など、わびさびを引き立てる渋いデザインのものが多く需要も高くなりました。
桃山・江戸時代には庶民にもくみひもが広がって製作も盛んになり、手提袋の緒や髪飾の緒、組帯、羽織紐と用途もさらに広がりそれと共に組み方も一層多様になっていきました。
江戸末期には和装の帯じめとして着付けに利用されるようになり、現在でも欠かせないアイテムとなっています。
また明治になると宝石や真珠といった様々な細工物を飾り配したものが作られるようになり、その後大正・昭和と世界にも誇れる美しいくみひもの作品が作られてきました。
一つ一つの糸が綾を成す京くみひもの特徴
京くみひもは複雑に組み上げられた繊細な編み目が特徴で、絹糸独特の美しい光沢がさらに京くみひもを優雅に引き立てています。
また美しいだけでなく、なかなか切れないという強度と紐を締めたときのしっかりとした締まり具合は実用面でも大変優れています。
現代では帯じめだけでなく、アクセサリーやストラップ、キーホルダーなど現代の生活により寄り添った伝統工芸として広く親しまれています。
また簡単な京くみひもを自分で手作りできる体験教室なども広く行われており、くみひもの魅力をより身近に感じることができます。
京くみひもの現代での使われ方とお手入れ方法
京くみひもは現代では身近なストラップなどのアクセサリーから、昔ながらの和装の帯じめなど使われ方は多岐に渡るようになりました。
最近では時代に合わせた京くみひもの新しい商品も次々に開発されています。
そのため、長く愛用するためにも正しいお手入れ方法でお手入れすることが重要となってきます。
京くみひもがしわくちゃになってしまった場合、「湯のし」というお手入れ方法があります。
湯のしはやかんに入れた水を沸騰させてそのやかんの口から出てくる湯気を紐に当てるという方法で、くしゃくしゃになっていた紐もピンときれいにのびます。
ただし、湯気を当てすぎると逆にフニャフニャになってしまいます。
少しずつ様子をみながら湯気を当てるようにしてください。
また湯気でヤケドをする危険があるので、必ず軍手をつけて作業を行うようにしましょう。
京くみひもが汚れてしまった場合に洗剤を使用して洗うと傷みやすく、色も落ちてしまう可能性があります。
汚れがついてしまった場合、水またはぬるま湯で押し洗いするようにしましょう。
また、落ちにくい汚れの場合は固く絞った布を叩きながら汚れを落とすようにし、決してこすらないようにしてください。
洗った後は乾いたタオルにはさんで軽く水分を取り、風通しのよい場所で陰干しして自然乾燥させてください。
生乾きのまま使用すると色落ちや色移りの原因になるため、しっかり乾燥させてから使用するようにしましょう。
京くみひもの見学・体験ができる場所
安達くみひも館
所在地 | 京都府京都市上京区出水通烏丸西入中出水町390 |
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電話番号 | 075-432-4113 |
定休日 | 不定休・年末年始 |
営業時間 | 9:00~16:00 |
HP | http://www.adachikumihimokan.com/workshop.html |
備考 | 予約必須です。 |
体験工房 雄彩(ゆうさい)
所在地 | 京都府京都市上京区出水通浄福寺東入る田村備前町238-1 |
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電話番号 | 075-812-3373 |
定休日 | 不定休 |
営業時間 | 9:30~17:30 |
HP | https://yusai.p-kit.com/ |
備考 | 撚り房キーホルダーや念珠作り、匂ひ袋作りなども体験できます。 |