宮城伝統こけし

宮城伝統こけし

宮城伝統こけしとは

宮城伝統こけしとは、豊かな風土と熟練の技から生まれる木製の人形。宮城県内で作られる「鳴子(なるこ)こけし」「作並(さくなみ)こけし」「遠刈田(とおがった)こけし」「弥治郎(やじろう)こけし」「肘折(ひじおり)こけし」が、国の伝統的工芸品に指定されています。

シンプルな造形美に加え、上品さと可憐さ、山村の自然の素朴さを美しく表現する宮崎伝統こけし。元々は子供たちの遊び道具でしたが、今では主に観賞用の人形として多くの人に愛されています。

子供のオモチャから鑑賞品へ変化した宮城伝統こけしの歴史

宮城伝統こけしの歴史は古く、今から約1300年前に始まりました。700年代に四種類の陀羅尼経(だらにきょう)を納める木製の百万塔(ひゃくまんとう)が作られました。この作品が、ろくろを使い木工品を製作する木地師(きじし)が作る最初のこけしといわれています。

その後、800年代に清和天皇の第一王子である惟喬親王(これたかしんのう)が、近江国でろくろ挽きの技術を指導。技術を身につけた木地師たちは、東は東北、西は四国や九州に移っていきました。

東北の山間地に移住した木地師は、お椀やお盆を製作しながら、子供のオモチャとして独楽(こま)やこけしを製作。江戸時代末期、東北の温泉地では子供向けのお土産としてこけしが売られました。その後、こけしは子供のオモチャから、大人の鑑賞品へと移り変わっていたのです。

作られる土地の風土に育まれた宮城の伝統的なこけし作り。1981年には、宮城県内の5つのこけしが「宮城伝統こけし」として国の伝統的工芸品に指定されました。そして現在も、伝統を継承する職人により、新たな作品が生み出されています。

5つの系統が存在する宮城伝統こけしの特徴

宮城伝統こけしの材料は、ミズキやイタヤカエデなどの木材。頭部と胴部を組み付けたシンプルな作りの人形で、素朴で愛らしい表情が印象的です。

製造工程は原木の乾燥から始まります。原木の皮をむき、半年から1年自然乾燥させた後、寸法に合わせて原木を切ります。次に、ろくろを回転させて鉋(かんな)で頭部と胴部を削り、サンドペーパーで磨きあげ、頭部と胴部を組み付けます。形を整えた後は顔や柄を描き、仕上げにロウを塗って完成です。

製造は原木の工程から仕上げまで、全て一人の職人が行います。そのため、職人の個性や想いが作品に反映されます。また、同じ職人の作品でも、木目や描彩の筆圧などの微妙な違いで、ひとつとして同じものがありません。これらが宮城伝統こけしの特徴であり、多くに人に愛される魅力でもあります。

東北地方の山間地で作られはじめた伝統的なこけしは生産地よって11系統に分かれています。その内、宮城県の鳴子こけし、作並こけし、遠刈田こけし、弥治郎こけし、肘折こけしが宮城伝統こけしです。

遠刈田こけし

遠刈田温泉を中心に作られ、切れ長の目に鼻筋がとおった大人の女性のような表情が印象的です。頭頂と額から左右にかけて赤の髪飾り「手絡(てがら)」が放射状に描かれたものと、飾りのないおかっぱ頭のものがあります。胴には菊が多く描かれ、ほかに桜や梅など多様なパターンがあります。

弥治郎こけし

鎌崎温泉に近い弥治郎地区で作られ、色鮮やかで豊富なバリエーションを持っています。頭部にベレー帽のような太いロクロ線と、その下に描かれた鮮やかな飾りがモダンな印象を与えます。

鳴子こけし

鳴子温泉を中心に作られ、特徴は首を回すと「キイキイ」と鳴ること。これは鳴子こけし独特の接合方法によるものです。胴部の中心は少し細く、裾に向かって太くなる安定感のある形状です。頭部には、前髪と髷(まげ)、水引手(みずひきて)と呼ばれる模様が描かれています。

作並こけし

山間部の作並温泉で生まれ、後に山形や仙台の都市で作られるようになったこけしです。胴部の形が細い棒状と、安定感のある裾が広がったものがあります。赤と黒の大胆な色使いで都会的な印象を持っています。

肘折こけし

山形県肘折温泉で生まれ、肘折温泉から仙台に移住した職人が製作するこけしです。胴部の形状は主に棒状ですが、裾が太いものもあります。胴部は鮮やかな黄色で、その上に重ね菊や撫子などの草花が描かれます。強く印象に残るくっきりと描かれた目鼻と口、黒々としたおかっぱ頭と大柄の真っ赤な髪飾りが特徴です。

宮城伝統こけしの現代での使われ方とお手入れ方法

現在、鑑賞品として使われている宮城伝統こけし。その日本らしい姿は、和風のインテリア小物としても存在感を発揮します。日本のお土産として外国人にも大変人気があります。

また、独特の可憐な佇まいに魅了され作品を収集するコレクターが、国内のみならず海外にも多くいます。

宮城伝統こけしのお手入れは、乾いた布を使って拭いてください。

宮城伝統こけしの見学・体験ができる場所

日本こけし館

所在地 宮城県大崎費鳴子温泉字尿前74-2
電話番号 0229-83-3600
定休日 1月1日~3月31日
営業時間 8:30 ~ 17:00 (12月1日~31日は9:00~16:00)
HP http://www.kokesikan.com/index.html
備考

展示、販売、見学、体験入館料:大人400 円、高校生160円、中学生160円、小学生120円絵付け体験:1,100円

みやぎ蔵王こけし館

所在地 宮城県刈田郡蔵王町遠刈田温泉字新地西裏山36番地135
電話番号 0224-34-2385
定休日 年中無休
営業時間

9:00~17:00(最終入館16:30)12月29日~1月3日は最終入館15:00

HP http://www.kokeshizao.com/index.html
備考

展示、見学、販売、体験 入館料:大人300円、小中学生150円こけし絵付け体験(要予約):絵付け代850円絵付け受付時間:9:00~11:00/13:00~16:00

閲覧した商品