大阪仏壇とは
大阪仏壇とは、大阪府大阪市、八尾市、東大阪市、堺市、岸和田市などで作られている仏壇です。
漆を塗って金箔で仕上げた金仏壇が中心ですが、独特の木目を生かした唐木仏壇も作られています。
大阪は四天王寺や本願寺など、歴史的に仏教とのかかわりが深い町です。
また、大阪は、古くから多くの財物が行き交う商業の中心地です。裕福な豪商たちによる需要と、発達した資材の供給力に支えられ、大阪仏壇はさまざまな方向に発展を遂げてきました。
今でも大阪は雑多な魅力を秘めた町ですが、そこで作られる仏壇も実に多彩な魅力にあふれています。
聖徳太子もかかわっていた大阪仏壇の歴史
日本に仏教が伝来したのは500年代半ば、欽明天皇の時代です。この頃、現代の大阪、難波津へ、百済から仏師、大工、細工師など6名の職人が渡って来たとの記録があります。
593年に、仏教の擁護者だった聖徳太子が四天王寺を建立する際にも、さらに4人の技術者が招かれています。
定住した彼らが腕を振るい、さまざまな仏具を生み出したのが、この地における仏壇作りの原点と見られています。
1496年には、本願寺中興の祖といわれる蓮如によって、浄土真宗最大の拠点となる石山本願寺が建立され、周囲は寺内町として発展します。これにより、大阪の仏壇・仏具の需要は急速に高まりました。
江戸時代に入ると、幕府が定めた寺請制度により、仏壇が広く普及し、大阪の仏壇製作も大きな産業へと発展します。
1700年代後半、農人橋お祓筋の仏師である池田屋小林弥吉によって、戸障子や蒔絵、彩色が施された仏壇が作られ、これが今の大阪仏壇の原型となったといわれています。
そこからさらに発展し、1800年代にはいると錺(かざり)金具、箔押し、漆塗り、彩色などの各分野で独自の凝った技法が開発されていきました。
大阪仏壇の発展を支えたのは商人たちの財力です。珍しいものに目がない彼らは、希少な輸入材である唐木(からき・とうぼく)を入手し、それを加工した「唐木指物」の産地が形成されていきます。明治時代に入って、この技術を仏壇作りに生かして作られたのが、「大阪唐木銘木仏壇」です。
大阪仏壇は1982年に経済産業大臣より伝統的工芸品として指定を受けていますが、「大阪唐木銘木仏壇(1985年)」、「大阪塗仏壇(1990年)」も個別に、大阪府知事からそれぞれ伝統工芸品の指定を受けています。また、仏壇に用いられる「大阪欄間」も、大阪仏壇より早い1975年に、経済産業大臣より伝統的工芸品の指定を受けています。
豪華な見た目の下に職人の神技が潜む大阪仏壇の特徴
大阪仏壇の金仏壇は、金箔押しの柱や優美な彩色が施された彫刻などが生み出す、きらびやかな印象が特徴です。
錺金具に見える装飾部分は「高蒔絵」によって作られています。これは錆漆(さびうるし)を高く盛り上げ、乾燥させた後、漆で図柄を書き金粉をまいて仕上げる技法で、あたかも金具をつけたような見た目になります。錺金具を釘で打ちつける必要がないので、木地を痛めたり、錆びたりすることがありません。
欄間は「大阪欄間」で、それ自体が伝統的工芸品です。「上彫り」、「かご彫り」、「なみ彫り」などの複数の技法が用いられています。どれも木目を活かした彫り方で、立体感があり、華やかで美しく、重厚感を感じさせます。
細部は宗派によって異なります。扉正面の錺金具、八双(はっそう)に各宗派の特徴が表れています。宮殿(くうでん)の屋根も、それぞれの宗派の本山の阿弥陀堂を模して作られており、西本願寺派は檜皮葺(ひわだぶき)の一重屋根、東本願寺は瓦葺きの二重屋根になっています。
正面下部の彫りを外すと、中に引き出しが隠されており、そこにも細工が施されています。なかには引き出しの裏にまで蒔絵細工が施されているものもあります。見えないところにも技巧を凝らす、大阪仏壇のこだわりが見られます。
大阪唐木仏壇は金仏壇と異なり、元来は庶民向けに作られた仏壇です。しかし、希少な木材の木目を生かした美しさや、その堅牢性などで人気の高い仏壇です。
唐木(からき)とは、熱帯地方からの輸入木材で、もとは中国を経て日本に持ち込まれていたため、そのような呼び方をします。紫檀、黒檀、鉄刀木(タガヤサン)が三大唐木と呼ばれており、特に珍重されています。
銘木は、希少な杢目(もくめ)を持つ木材や、材種自体に希少性のあるものを指す言葉で、大阪仏壇では桑、杉、桜などが用いられます。
唐木の丈夫さと銘木の美しさをいかした漆のふき仕上げが特徴です。
仏壇内部は金紙が貼られ、両側の金紙は板ガラスで保護されています。また、両外側の浅木(せんぎ)は取り外すことができ、側面の板を外すことで、内部を清掃しやすくなっています。
大阪仏壇の現代での使われ方とお手入れ方法
伝統的な大阪仏壇の漆塗り金仏壇は、熟練の職人がすべて手作業で作るため、納期も長く、価格も高めとなっています。その分、日本の伝統美を常に身近に感じられるのみならず、非常に耐久性に優れ、何代にもわたっての使用に耐えうる仏壇となっています。
大阪唐木銘木仏壇は、使われている木材や技法、塗り方などによって、価格が大きく異なります。黒檀、紫檀など、希少な木材が使われたものには、かなりの高級品もあります。
お手入れの際は、特に金箔、金粉の部分にご注意ください。直接手で触れるだけでも傷つけてしまうので、軽い毛バタキで丁寧にホコリを落としましょう。
木材の平らな部分は乾いた布で拭く程度で、どうしても汚れが落ちない場合は固く絞ったタオルなどで拭いてください。うるし塗りの部分は、よりやわらかいガーゼや綿布などで拭くと良いでしょう。
大阪仏壇の見学・体験ができる場所
仏壇のシメノ 岸和田本店
所在地 | 大阪府岸和田市八阪町1-4-18 |
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電話番号 | 072-422-0193 |
定休日 | 無休 |
営業時間 | 9:30~18:30 |
HP | https://www.shimeno.com/ |
備考 | 創業は1806年。伝統の技術と文化を守り続けてきた仏壇の老舗。伝統的な高級仏壇から、モダン仏壇まで、数多く取りそろえている。 |
森屋仏壇店
所在地 | 大阪府富田林市常盤町4-11 |
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電話番号 | 0721-23-2053 |
定休日 | 水曜日 |
営業時間 | 9:00~18:00 |
HP | https://www.moriya-butudan.com/ |
備考 | ショールームには高級仏壇が並び、各宗派の仏壇に対応。世界にひとつしかない別注仏壇の制作も依頼できる。 |