琉球漆器とは
縄県では、古くから中国の技法を取り入れた漆器が作られていました。現在ではさまざまな伝統技術を取り入れながら、見た目にも美しい漆器を多く生産しています。
漆器とは木や紙で作った製品に漆を塗って仕上げたもので、琉球漆器は木地と呼ばれる木をもとにした作品がメインです。食事の際に使うお椀や器だけでなく、指物と呼ばれる木製のタンスや棚のようなものも作られています。
どの作品も非常に美しく、さまざまな加飾をして仕上げられているのが特徴です。沖縄らしい華美な雰囲気のものも多く、目で見るだけでも楽しめるでしょう。
中国から沖縄へと伝わった琉球漆器
琉球漆器の発祥は中国で、急速に発達し始めたのは1400年ごろだといわれています。中国から伝わった技法を活かしながら独自の発展を遂げた琉球漆器でしたが、1609年に薩摩に支配されるようになって以来、より漆器の生産に力を入れるようになりました。
沖縄はもともと「琉球王国」と呼ばれていたため、現在でも琉球漆器という名前で親しまれています。海に囲まれている沖縄では、古くから近隣諸国に工芸品を献上していました。その中でも特に評価が高かった琉球漆器は、海外でも人気が高かったようです。
また、海外だけでなく国内でも献上品や贈答品として扱われていました。
【中国への職人派遣で技術力が向上】
さまざまな国や場所へ献上を続ける中でも、琉球漆器は常に進化を続けていました。中でも1715年には中国加飾法から生み出された「堆錦(ついきん)」と呼ばれる技法は、それまでの琉球漆器の雰囲気とは異なる華美なものとして有名です。その後も中国への職人派遣を続けながら、技術はますます向上していきます。
堆錦のほかにも螺鈿(らでん)や沈金(ちんきん)など、さまざまな加飾技法を取り入れながら多くの作品を製作。琉球漆器の発達はとどまることを知らず、1897年の廃藩まで続きました。
【生活様式の西洋化で需要が減少】
廃藩までは一気に急成長した琉球漆器でしたが、生活様式が西洋化してくると生産量が減少してしまいます。安価で大量生産できる食器が主流になると、高価で手間のかかってしまう漆器自体が衰退。しかし、最近では昔ながらの技法や美しさが見直され、好んで漆器を購入する人も増えてきています。
美しく鮮やかな装飾が特徴の琉球漆器
琉球漆器の木地には沖縄県の県花であるデイゴ、シタマキやガジュマルなどの木が使用されています。沖縄県は気候に恵まれているため、こうした良質な素材を多く使えるのです。これらは漆器にする際に狂いや亀裂が生じにくい木材で、仕上がりの木目が美しいのが特徴。
塗りは鮮やかな朱塗りに黒塗りを大胆に合わせたものが代表的で、さまざまな加飾法によって装飾が施されています。
【琉球漆器に使われる加飾法とは】
代表的な加飾法には、堆錦・螺鈿・沈金などがあります。堆錦は顔料と漆を練り合わせて伸ばしたものを切り取り、模様を貼り付けて彩色する技法です。螺鈿はアワビなどの貝殻を使ってキラキラと輝く模様を作る技法で、貝殻の美しさを感じられます。
沈金は中国から受け継がれてきた技法で、細かい線で描いた模様の中に金箔を擦り込む技法です。どの加飾技法も非常に繊細なもので、限られた職人のみが扱えます。特に沈金は沖縄漆器の特徴でもある朱色と相性がよく、繊細でありながら重厚で美しい仕上がりになるのが特徴です。
【指物と挽物を多く生産】
重箱などの箱型のものを指物と呼び、木材をろくろなどで挽いて作る器や食器などを挽物と呼びます。琉球漆器は指物と挽物を中心に作られており、どちらも朱色と黒色で仕上げられたものが多いのが特徴です。
琉球漆器の指物は朱色のインパクトが強く、重厚で高級感のある仕上がりになります。一方で挽物はサイズが小さいものが多いこともあり、朱色が温かみを感じさせてくれるのが特徴です。
現代での使われ方とお手入れ方法
琉球漆器はお椀や箸、ぐいのみなどさまざまなものがあり、普段使いだけでなく贈り物としてもおすすめです。漆器と聞くと高価でなかなか手が出ないイメージがありますが、実際には手頃な価格の商品も多く取りそろえられています。自分用としての購入はもちろん、大切な人への贈り物にもおすすめです。
漆器は使用方法やお手入れを間違えてしまうと、劣化する可能性があるので注意が必要です。漆器を使用したあとは食洗機などの使用は避け、台所用の洗剤を使って優しく洗います。硬いスポンジを使ったり、強い力でこすると傷の原因になるので注意してください。
洗ったあとは水分をしっかり拭き取り、乾かしてから収納します。漆器は熱風や紫外線に弱いため、直射日光を避けて涼しい場所で保管してください。
また、電子レンジやクレンザーの使用、長時間水に浸けるのも避けた方が無難です。漆器を電子レンジにかけると割れる危険があり、クレンザーは漆独特の光沢やツヤを削り取ってしまいます。長時間水に浸けると、漆と木地の間に水分が入って剥離する場合があります。
漆器は適切なお手入れをして保管すれば長期間愛用できるので、ぜひ上記のお手入れ方法を参考にしてみてください。
琉球漆器の見学・体験ができる場所
那覇市伝統工芸館
所在地 | 沖縄県那覇市牧志3-2-10 てんぶす那覇2F |
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電話番号 | 098-868-7866 |
定休日 | 年末年始 |
営業時間 | 9:00~17:00(体験工房) |
HP | https://kogeikan.jp/ |
備考 | 館内見学、体験など |
浦添市美術館
所在地 | 沖縄県浦添市仲間1-9-2 |
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電話番号 | 098-879-3219 |
定休日 | 毎週月曜日 |
営業時間 | 9:30~17:00(金曜日は19:00まで) |
HP | https://www.city.urasoe.lg.jp/facilityDetail?articleId=60d4005664667334e2f6c438&categoryId=20201010 |
備考 | 館内見学、体験 |