ブランド
人と自然が共存する文化をつくる
YUIYU
- 2022年
- 山中漆器
- 田邉なおこ ほか
歴史
生活に根ざした工芸品の始まり
「YUIYU」は、石川県加賀市山中温泉地区の伝統工芸と現代の暮らしをつなぐ商品をプロデュースするブランドです。
ブランド名「YUIYU」は「結う」という言葉を重ねて生まれた名前で、ジャンルや立場などの垣根を取り除いてつないでいくという想いをこめて付けました。
山中温泉地区で450年前から作り続けられてきた山中漆器は、日本の三大漆器に数えられ、とくに木の風合いを生かしたろくろ挽きの技術は日本一と言われています。
山中漆器は安土桃山時代に、豊富な良質木材を探し求めていた木地師集団が、山中温泉上流の集落にたどり着き、移り住んだことに始まります。
当初はその木地師たちが、山中温泉の湯治客用にお椀やお盆、土産物などを作って生計を立てていましたが、次第にろくろ挽きの技術が地域に定着し、温泉とともに発展していきました。
その後、他地域の加飾技術を取り入れながら独自の「山中漆器」が確立されて、全国的に名を知られることとなります。
特徴
関わるすべての人にスポットライトを
山中漆器の製作工程は、すべて分業制でおこなわれており、それぞれの職人が高い技術を持って取り組んでいます。
木地師は自分自身で鉋 (かんな) や刃物などを鍛造して、こだわりの道具で木地の形状を作ります。
ろくろ挽きは山中漆器の代名詞でもあり、やわらかな曲線や丸い物が得意なことで有名です。
木材を加工する際に、木が育つ方向に逆らわず、年輪に対して平行に木地取りをする「縦木取り」は、木の歪みを抑え、木目がきれいに出る山中漆器ならではの手法。
加飾挽きの技は40~50種類あると言われ、繊細な筋の模様は美しさだけでなく、握った時の感触が絶妙です。
木地師のほかにも、木地の狂いを防ぐために木目の中まで漆を吸わせる木地固めや、塗り加工できるように土台を整える下地師。
下塗り、中塗り、上塗りと何度も漆を塗っては研いだり拭いたりの作業を繰り返す塗師。
漆や色粉で美しい文様や文字を描く蒔絵師。
漆を精製する職人。
さまざまな材料や手法により専門の職人が活躍しています。
YUIYUでは、すべての工程に関わる方々に光をあてて、技や情熱を次世代へとつなぐ取り組みをしていきたいと考えています。
お客様へ
フラワーデザイナーが繋ぐ伝統工芸
YUIYUは、山中の伝統工芸を現代の暮らしへとつなぐことをコンセプトに、フラワーデザイナーの視点からのアプローチで商品をお届けしたいと思っています。
私たちは、雄大な自然の中で職人たちのたゆまぬ努力により伝承されてきた山中漆器を、さらに成長させていく試みとして、「植物のような漆器」を創作しました。
サステナブルな取り組みとして、これまで規格外にしていた木目も自然のままに残し、自然から学びを得た形と新しい色の漆器をお届けします。
漆の経年変化により、ゆっくりと色が変わる楽しみは、心を豊かにしてくれます。
気軽に自由に手に取っていただき、毎日の暮らしに取り入れていただければ幸いです。