
ブランド
捨てない知恵を地域とともに
片口屋
- 1830年
- 発酵食品
- 片口敏昭

歴史
江戸の技と越中の海が造った発酵文化
1830年、江戸で濃口醤油造りの修業を積んだ初代・片口安之助は故郷・越中へ戻り、富山県射水市に「片口屋」を創業しました。
江戸で親しまれていた関東風の濃口醤油は、当時の越中で主流だった関西風の淡口醤油とは風味が大きく異なり、地域の人々に驚きをもって迎えられましたが、その濃厚で奥深い旨味は次第に受け入れられて、広く親しまれるようになっていきました。
以来、一貫して味噌・醤油を熟し、やがて酒も手がける蔵元として発展。
2013年には、地域の魚文化を次の世代に繋ぐ挑戦として、地元の宝・氷見寒ブリの内臓だけから造る「鰤醤(ぶりしょう)」を日本で初めて商品化しました。
これは魚を丸ごと使い、捨てられる部位までも美味へと昇華させる循環モデルであり、2021年「富山県食品ロス削減優良活動」、2023年「ディスカバー農山漁村の宝」北陸農政局賞など、多くの栄誉にも繋がりました。
弊社では、より美味しく安心な商品を届けるため、昔ながらの製法に加え、技術者や大学と連携して遠心分離や短期熟成などの新しい製法開発にも積極的に取り組んでいます。

特徴
まっとうな味はまっすぐな手仕事から
片口屋のものづくりは、伝統に根ざした確かな技と、新しい挑戦を恐れない姿勢にあります。
まず、味噌・醤油は天然熟成。
地元産コシヒカリと大豆エンレイ、そして富山湾の海洋深層水を用い、化学調味料・保存料無添加で「まっとうな味」を追求しています。
さらに、魚醤はその集大成。
氷見寒ブリの内臓から生まれた「鰤醤」は、魚本来のくさみを遠心分離で抜き、塩分も約15%に調整したまろやかで深い旨味が特長です。
2024年にはホタルイカの魚醤「蛍烏賊醤油」と、ペーストから開発された「ホタルイカのバーニャカウダ」が登場。
シンプルな原料(ホタルイカと食塩)ながらも、和洋中問わず料理に華を添えます。
製造過程で生まれる残渣 (残りかす) は土壌改良材や鶏の餌として再利用され、環境、地域、人を包括的に守る姿勢が高く評価され続けています。
「地元の食材を次世代へ」との思いで若い世代へ向けた商品開発も活発に行い、日常を彩るラインが全国・海外の食卓にも広がりを見せています。

お客様へ
その一さじで皆様が笑顔になりますように
片口屋は創業時から一貫して、原料そのものを慈しみ、地域と共に歩んできました。
富山湾の恵み、越中の麹、そして職人の叡智。
それらが重なり合うからこそ生まれる「本物の旨味」は、皆様の日々の食卓へ、真の豊かさを届けます。
私たちが手がける商品は、どれも富山の海と人を感じられる逸品です。
魚醤ならではの深いコクは、鍋、炊き込みご飯、炒め物、洋食のアクセントにも。
遠心分離で生まれたまろやかさと控えめな塩分は、初めて魚醤に触れる方にも優しく響くでしょう。
また、素材の命を無駄なく使い切る私たちの姿勢は、「食」そして「生きる」を見つめ直すメッセージでもあります。
環境保全や地域循環を心がける社会に、毎日の選択として片口屋を取り入れていただけたら幸いです。
どうか皆様の大切な食卓に、片口屋の味を迎えてください。
そしてその味が、笑顔や会話、しあわせな時をつむいでくれることを願ってやみません。
受賞歴
2018年 日本農芸化学会「技術賞」受賞 (鰤醤)
2021年 富山県「食品ロス・食品廃棄物削減推進県民会議表彰」受賞
2023年 農林水産省「ディスカバー農山漁村の宝」北陸農政局賞 受賞
2025年 富山県「とやま推奨ブランド」認定 (鰤醤)